QUESTION

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エンタメ業界におけるM&Aの狙い、企業価値向上の方法は?

現在、事業成長を目指していますが、どのような企業を目指すべきか悩んでいます。具体的には、買収企業が求めるニーズやトレンドについて知りたいと考えています。

また、将来の売上拡大を目指してクリエイティブな人材への投資を積極的に行っているため、現時点では収益性が高くありません。このような状況でM&Aを検討した場合、将来的に高い収益性が見込めることを前提とした金額で譲渡価格が決まるのでしょうか。

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近年の主な買収ニーズはデジタル強化とIP獲得

デジタルと技術の統合

近年、エンタメ業界ではデジタル化の進展が著しく、ストリーミングサービスやデジタル配信プラットフォームの成長が顕著です。さらには制作面でもAIの活用が注目されるなど、技術の変革が目覚ましい状況といえます。そのため、メディア・エンタメ企業が、テクノロジー企業や新興のデジタルプラットフォームを買収あるいは出資するケースが増加しています。そのほかにもデジタル分野での競争激化に伴い、コンテンツデジタル人材や新しい配信チャンネルの確保を狙ったM&Aも今後増加すると考えられます。

コンテンツの多様化とIP(知的財産)の獲得

この業界におけるM&Aの目的の一つは、人気のある有名コンテンツや強力なIP(Intellectual Property;知的財産)を手に入れることです。例えば、大手メディア企業が制作会社やコンテンツプロバイダを買収することによって、幅広いオリジナルコンテンツや人気フランチャイズを獲得し、それをさまざまなプラットフォームで展開することが可能となります。さらに強力なIPを活用して新たな映画やシリーズを制作し、興行収入を増加させることも可能であり、双方の事業成長が加速するため、IPの獲得はM&Aの最大の狙いと想定されます。

過去実績などを鑑み、将来性を含めた企業価値でのM&Aになる可能性がある

M&Aの企業価値評価には、通常の過去3~5期分の財務状況とは別に、将来獲得可能な収益性を意識した企業価値算定手法があります。例えば、DCF法(事業計画を生かし、事業で生じる将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて企業価値を計算する手法)を活用する方法や、興行収入を予測して行うエンタメ業界特有の株式価値算定法があります。

興行収入は、エンタメ業界において企業価値に密接に関連しており、企業がM&Aを行う際には興行収入の増加を目的とすることが多く、その結果として企業の収益力や市場競争力を向上させることができます。興行収入を意識して収益性を考えると、IPを生かすことによって異なるメディアプラットフォーム・コンテンツを組み合わせるクロスプロモーションも可能となり、興行収入を大きく増加させることも想定されます。

そのほかにもクロスプロモーションを生かしたマーチャンダイジングが売上拡大につながるなど、エンタメ業界においては将来獲得できる収益性を鑑みた株式価値にてM&Aが実行される可能性は高いと言えます。

今回はコンテンツによって売上が左右されるエンタメ業界を例にしました。企業価値は現時点だけでなく、将来的な成長も含めて算定されます。ストライクではご相談いただいた企業様の将来性も含めて、しっかりとお話を伺った上で最適なお相手をお探ししますので、ぜひお気軽にご相談ください。