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M&Aで会社を譲渡した後も社長が会社に残ることはできる?

現在、50歳で運送業を経営しています。2024年問題への対応や原油高、人材難などの課題を抱えており、自社単独での事業展開に限界を感じて、経営課題の解決と今後の会社の成長を図るために譲渡を検討しています。ただ、まだ働ける年齢なので、M&A後も会社に残り大手資本の下で会社の成長に寄与したいと思っています。

知人から「M&A=引退」という話を聞いたのですが、実際のところはどうなのでしょうか?譲渡後、会社に残って働くことはできるのでしょうか?

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成長戦略型M&Aでも事業承継型M&Aでもオーナーがそのまま会社に残り事業に関与することが可能です

事業承継を目的としない企業譲渡、例えば今回のご相談のように大きな資本の下での事業の維持・成長を目的とした譲渡においては、譲受企業側が現在の経営者に対してM&A後も積極的な経営参画を期待するケースが多いです。その理由の一つとして、オーナー経営者が引き続き会社に残ることで取引先や従業員の方々の安心が得られることが挙げられます。事業の中心的存在だったオーナー経営者が引退することで顧客離れや離職が起きることは譲受企業が最も危惧するところであり、そのリスクを減らすためにもオーナー経営者の継続勤務を望むことが多いのです。

事業承継型のM&Aであっても、オーナー経営者が顧問や代表権のない取締役という形で会社に残り、M&A後の両社間の組織融和にご尽力されたり、経営に関するアドバイスをなさったりするケースはよく見られます。

最近は譲受企業も経営者人材が不足していることが多く、逆に譲渡後の早いタイミングでの引退を希望される場合、後継人材の派遣がネックとなって、お相手探しが難航してしまうケースもございます。

株式譲渡後の経営者のあり方は一様ではありません。事業から離れて第二の人生を歩む方がいらっしゃる一方で、そのまま会社に残って事業に関与し続ける方もいらっしゃいます。大企業の資本や知名度を活かして新たな企業成長戦略を描き、さらに事業を拡大していくことも可能です。まずは譲渡後の会社とご自身の将来像を具体的に描いてみることをお勧めいたします。

「現経営者が譲渡後も会社に残り事業に関与する」ことを条件にM&Aを進めることも、もちろん可能です。継続勤務のご意思が明確であるなら、最初からM&Aアドバイザーにその希望を伝え、継続勤務を条件にお相手探しをしたほうがM&Aの交渉もスムーズに進むと思います

私がお手伝いさせていただいたケースでは、具体的な譲渡時期は決めずまずはM&Aの検討を始め、自社にとって「良い相手」「良い条件」のお相手が見つかったら行動を開始する、というオーナーがいらっしゃいました。そして、どのような形でどのようなお相手に譲渡すべきか検討を続けられる中で、M&A後も会社に残り経営を続けたいという思いを強くされ、その条件でお相手を探すことになりました。譲渡後も会社に残って経営に携わるのか、それとも後継者に委ねるのかという具体的なイメージを先に持っておくことは、良い提携先と良い条件で巡り合うチャンスを逃さないという意味でも重要になってくると思います。

譲渡のタイミングは人それぞれですが、M&A後も継続勤務をする方法があると知らずに譲渡の好機を逸してしまっているケースも散見されます。申し上げた通り、必ずしも「M&A=引退」ではありません。もっと早くご相談いただいていれば、と感じることもございますので、早めに検討を始められることをお勧めします。

どのような形で会社に残るのか、継続勤務の方法もさまざまです。譲渡後の会社との関わり方についてお悩みの際には、当社の経験豊富なアドバイザーにお気軽にご相談ください。