INTERVIEW

注文住宅×分譲・建売住宅
東北×首都圏
互いの強みを融合し、共に成長を図る

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新山形ホームテック株式会社 代表取締役 矢口 雅彦 氏

新山形ホームテック株式会社 代表取締役 矢口 雅彦 氏

山形県有数の注文住宅メーカーである新山形ホームテック株式会社は2024年4月、ケイアイスター不動産株式会社(本社/埼玉県本庄市)のグループ傘下に加わった。新山形ホームテックは2008年の創業以来、普段何気ない生活の「安心」「安全」「喜び」を提供する家づくりで地域の人たちの人気と信頼を集め、着実に年間完工棟数を増やしており、近年はリノベーション事業でも実績を重ねている。右肩上がりで成長を続ける同社の譲渡を50代で決断した背景やM&A後の変化などについて、創業オーナーである矢口雅彦氏にお話を伺った。

永続的な成長と強い組織づくりのため
M&Aはベストな選択だった

御社の設立の経緯、特長を教えてください。

新山形ホームテック・住宅
同社が手掛ける住宅は「安心」「安全」「喜び」を提供する家づくりで地域の人たちの人気と信頼を集めている。

私は中学・高校の保健体育の学校講師をしていましたが、大手ハウスメーカー、ゼネコンの住宅事業部を経て、1997年に宮城県と山形県で事業を展開する注文住宅ブランドのフランチャイズ加盟店企業に入りました。その山形の事業を引き受ける形で2008年に設立したのが、新山形ホームテック株式会社です。

当初から注文住宅がほぼ100%で、お客様の幅広いニーズにお応えできるように、ブランドを新たにつくったり、山形市や天童市、東根市、鶴岡市などにモデルハウスを開いたり、少しずつ事業、商品ラインナップ、エリアを拡大してきました。数年前からはリノベーション事業にも力を入れています。

住宅業界を選んだきっかけは?

学校で授業をしたり、野球部の指導をしたりするのはとても楽しかったのですが、それに代わる仕事として、挑戦するなら自分の力を試してみたいと思い、楽しみも大きいが、あえてとても厳しそうな住宅の営業を選び、転職しました。

この世界にのめりこんだのは、お客様から信頼を寄せてもらい、お客様のニーズをお聞きして1軒1軒、丁寧につくりあげていくところに魅力を感じたからです。その信頼にお応えして喜ばれることでやりがいを感じました。弊社は地域密着で事業を展開しているため、親戚のようなお付き合いがずっと続くお客様もたくさんいます。地域の人たちとの絆は私にとってかけがえのないもので、教え子のマイホームも50棟近く手掛けました。

着工棟数も業績も右肩上がりで伸びる中、50代でM&Aを決断された理由を教えてください。

社員とお客様のために会社を永続させるため、そのためには今後も成長を続けること、それにはM&Aがベストな選択だったからです。山形県は人口がどんどん減少しており、マーケットが縮小する未来が見えています。この状況で会社が成長し続けるには、大手のパートナーが必要だと考えました。55歳を過ぎていずれ訪れるリタイアを見越し、今のうちに上場基準を社内に取り入れ、強い組織づくりをしておきたいという考えもありました。

社内承継や親族承継の選択肢は?

生え抜きの社員で能力のある人はいますが、市場や業界のことを考え、自社のみでの成長が厳しくなるとわかっていて任せられるかというと……難しいと思いました。

息子は別の業界で働いているので、継いでほしい気持ちも少しありましたが、期待はしていませんでした。一昨年の正月、息子が帰省したとき念のため承継の意思がないことを確認したうえで、M&A仲介会社に何社か問い合わせをし、企業価値評価も受けて、お相手を探してもらうことにしました。

譲渡の条件はありましたか?

新山形ホームテック株式会社 代表取締役 矢口 雅彦 氏
新山形ホームテック株式会社 代表取締役 矢口 雅彦氏

会社を永続させるためのM&Aですから、ある程度の規模感があり、シナジーが期待でき、営業支援を受けられるお相手、社員もお客様も安心できるようなお相手を希望しました。また、私がお手伝いして家を建てていただいたお客様も大勢いらっしゃることから、引き続き私も残って働き続けられる環境をという意思も伝えました。

数社の候補の中からケイアイスター不動産様を選んだ理由をお聞かせください。

決め手は成長戦略の考えが一致したことです。同社の売上は現在、分譲・建売がほとんどで、我々と組むことによって注文住宅事業を伸ばし、両社の成長を加速させていこう、我々を布石として注文住宅事業を積極的に展開していこうという戦略、高い成長意欲が明確に感じられたことが大きかったです。エリア的にも同社は東北エリアの拠点を拡大しているところで、シナジーが期待できると思いました。尚、規模感については想定以上で希望通りでした。

両社の強みを融合させて成長を加速させていくため、積極的に戦略展開を実施していく、高い成長意欲が明確に感じられ、全力でサポートするという言葉を伝えていただいたのが決め手です。尚、M&Aで加わったグループ会社の成長業績も具体的に裏付けを説明していただき、グループ全体が高い成長曲線を描いていることも大きかったです。

経営戦略、人材育成、営業力強化――
お相手のバックアップを得て
課題が一つひとつ解決に向かっている

今回、ストライクにフィナンシャル・アドバイザーをご依頼いただきました。

新山形ホームテック株式会社 代表取締役 矢口 雅彦 氏、ストライク大西・依田
大西さん、依田さんのお二人は強引に話を進めるようなところが一切なく、寄り添ってくれる感じがしたところがよかったですね、と矢口氏。
(写真左がストライク担当の大西達也、写真右が依田勇生)

M&Aは会社の命運を分けるものですよね。失敗はもちろん、ただ「成功」するだけでは許されない、「大成功」しなくてはならないと考えると、自分の中途半端な知識で臨むのではなく、プロの力が必要だと判断しました。

大西さん、依田さんのお二人は強引に話を進めるようなところが一切なく、寄り添ってくれる感じがしたところがよかったですね。不動産の営業も家を売りさえすればいいのではなく、お客様に親身に寄り添うことがとても大切です。なぜ家を建てたいのか? どんな家を建てたいのか? ご本人、ご家族はどんな人たちなのか? 生活や家計の状況は? いろいろなお話をお聞きして、最適な家づくりのプランをご提案します。なかには「家を建てるのは今じゃないほうがいい」というケースもあって、そのようなお客様に無理にローンを組んで家を建ててもらっても、誰も幸せにはなれません。M&Aも同じですよね。大西さん、依田さんは本当によく私の話を聞いてくださり、私の人となりも会社のこともよく知ったうえで皆が幸せになる方法を考えてくれたと思います。

成約までに大変だったこと、不安だったことは?

ベストなお相手を選んだという自信は揺らぎませんでしたが、本当にうまくいくのかどうか、いろいろ不安に思うことはありました。M&Aは秘密裏に進めなくてはならず、誰にも相談できないのがもどかしかったですが、疑問や不安はすべてストライクさんに相談させてもらい、一つひとつ解消していきました。次に何が起きるか先んじて教えてくれたのもありがたかったです。どうすればいいかわからず戸惑うようなことがありませんでした。

社員の方にはいつ伝えましたか?

契約の前日、全社員を集めて発表しました。契約調印のために山形に来てくださっていたケイアイスター不動産さんの役員の方々からも説明をしていただきました。社員の反応は……何が起きているのかよくわからなかったようで、静まり返っていましたね。私としては前々から、業界の動向や生き残り戦略が必要だという話をしてきたつもりですが、その場では頭に浮かばなかったのかもしれません。

その後、私が各店舗に出向き、説明して回りました。業務の内容や雇用形態を含め、これから会社がどうなるのかという質問がほとんどでした。基本的に大きな変化はなく、ブランド名も継続、社長も私が引き続き務めるという話をしたところ、納得してくれました。皆、会社・社員が成長するためのM&Aであることを理解して、頑張ってくれていると思います。

成約から約半年、事業や組織に変化はありますか?

新山形ホームテック株式会社 代表取締役 矢口 雅彦 氏
成約後、事業や組織への支援をいただき整備が加速していると話す矢口氏

期待以上の変化が起きています。組織づくりに関しては、財務、労務、法務など、これまで我流で何とかやってきた部分を、ケイアイスター不動産さんの上場基準のやりかたを取り入れ整備しているところです。

営業支援も受けており、具体的な方向性も見えてきました。これまで手つかずだった分譲・建売の事業は同社のサポートを受けながら新規に事業を展開する方針で、現在、3名が同社の仙台東営業所で3カ月間の研修を受けています。まずは県内で足元をしっかり固め地域密着を図りシェアを高めることが第一の計画ですが、県外進出のビジョンもあります。県外進出は挑戦したいと思いつつ、自分たちだけでは資金力の問題もあってずっと踏み出せずにいたので、実現できる体制になり、ワクワクしています。

人材育成についてはいかがですか?

同社の研修プログラムやノウハウを取り入れることで、体系的に進められるようになってきました。組織づくりにおいて課題だったことが一つずつ払拭されています。弊社は若手が多く、すべてにおいて上場基準のノウハウを身につけられるのは、彼らにとって素晴らしい今後の財産になると思っています。

滑り出しは順調ですね。

想像していた以上に丁寧に・大切に扱ってくださっています。経営層の皆さんとお話しできる機会が多く、皆さん口々に「全力でサポートします!」と言ってくださるので、本当にありがたいですし、経営戦略を相談できる相手ができて、とても心強いです。

経営課題を抱える地方の経営者の方にアドバイスをお願いします。

今回の発表の後、同業の経営者から「M&Aについて話を聞きたい」という連絡を受けたりしています。私も含め、これまでは我流の経営で何とか成長してきましたが、中小企業が単体で今後成長していくのは、やはり大変な時代になっていくかと思います。今後成功する成長戦略を立てるのも大変ですし、立てた計画を実践し、確実に結果を残すのも大変です。しかもそれがずっと続きます。人口減少、高齢化が進む地方ではなおさら困難で、それは住宅業界に限ったことではないと思います。気力、体力も上がっていけば良いのですが、皆、着実に年齢を重ねます。さらなる成長に向けて大きなエネルギーを注入することも選択かと思います。

M&Aについて聞きたい、事業戦略について悩んでいるという人たちに、私は「プロに聞いてみたら」とアドバイスしています。私は大西さんや依田さんに教えてもらいながら進めましたが、間違って理解していたこともあったし、お二人のアドバイスがあって初めて気づくこともありました。いろいろな情報、さまざまな実例をお聞きしながら説明してもらえたことが、理解の助けになりました。

M&Aは社員やお客様の将来に大きな影響を与えますから、失敗できません。確実に成功させるために、また遠回りしないために、専門家に相談することが一番の方法ではないかと思います。

本日はありがとうございました。

M&Aアドバイザーより一言(大西 達也・事業法人部 アドバイザー談)

ストライク大西 達也

新山形ホームテック様は、矢口社長のお人柄や、お客様への誠実な提案と対応が高く評価され、年間着工件数も順調に増加している県内有数のビルダーです。
今回、特に印象に残ったのは、矢口社長の「過去に建築したお客様への変わらぬ責任を果たすため」「従業員を守るため」に、一生に一度あるかどうかの判断だからこそ、「絶対に失敗できないし、後悔したくない。確実に成功させるために」というお話でした。
実際にM&Aを実施し、全従業員の皆様へ本件を初めて開示し説明する場にも同席させていただきました。
M&Aという選択肢において、必ずしも明確な正解があるわけではありません。だからこそ私は、オーナー様が人生をかけて育てた大切な「想い」を繋ぐお手伝いをすること、そして誠実に対応し、信頼関係を築くことの重要性を改めて実感しました。
今後も、両社の更なる発展を心よりお祈り申し上げます。

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