ご成約インタビュー No.46
INTERVIEW
「女性が輝ける会社」を目指し
会社&社員を業界トップに育て上げた女性社長
将来の成長を見据え会社の譲渡を決断
- #後継者不在
- #創業者
- #戦略的M&A
- #従業員雇用
- #IT・ソフトウェア
株式会社ポータルズ 代表取締役 宮内 佳緒里 氏
株式会社光井コミュニティ 代表取締役 光井 宏 氏
治療院のホームページと言えば「ポータルズ」。株式会社ポータルズ(兵庫県神戸市)は、整骨院・接骨院・整体院など治療院業界のWEB戦略において並ぶ者がない実績、ノウハウ、知名度を誇るリーディングカンパニー。創業者の宮内佳緒里氏は女性チームの強さを生かし、事業を大きく成長させてきたが、2022年6月、事業の継続・発展のため、治療院のコンサルティングで活躍する光井宏氏に会社を譲渡した。今回のM&Aの経緯や心境、今後の事業展開について、お二人に伺った。
治療院のWEB戦略に特化
顧客視点のプロデュースが評判を呼び
全国1000院超から受注
ポータルズ創業の経緯を教えてください。
宮内:シングルマザーで子どもが待機児童だったことから、インターネットの普及前から身につけていたパソコンのスキルを生かして2002年に起業、不動産関連のサイトの制作を手掛けるようになりました。でも、女性のフリーランスは立場が弱く……。会社組織にして、もっと対等な立場で仕事ができるようにしようと、2003年に株式会社ポータルズを立ち上げました。
最初は私一人でしたが、「スキルを磨き、お客様を繁盛させれば、ビジネスパートナーとして信頼してもらえるはず!」と猛勉強してサービスを強化、クライアントが紹介で徐々に増え、社員も増えていきました。
治療院に特化したきっかけは?
宮内:ある治療院の先生がたくさんの先生を紹介してくださり、どの治療院も爆発的に集客が伸びていきました。2010年頃のことです。なかには業界の大手と言われるまでに成長された治療院もあり、その先生方がまた新たな治療院を紹介してくださって、紹介の連鎖でどんどん成功事例が増えていきました。
社員の数も増えていく中、皆が楽しく働けるようにするため、いつまでも下請けの“なんでも屋”でいてはならないと考え始めた時期でもありました。当時は、二転、三転するクライアントの要望に応えてエンドレスにタスクが積み上がっていくようなことも少なくなかったのです。治療院に特化してノウハウを蓄積することでポータルズの評価を高め、こちらからWEB戦略を提案・主導してトータルプロデュースできるようなプロの組織になろう。そう考えて、治療院の魅力の引き出し方・見せ方やSEO対策のスキルを磨き、ポータルズの作るホームページなら必ず集客できるという実績を積み重ねたことが成功につながったと思います。
女性社員の視点を大切にしたWEB戦略が特長の一つですね。
宮内:私たちが手掛け始めた頃の治療院のホームページはどれも文字ばかりで、「行きたい」と思えるものがありませんでした。写真が載っていても、腕組みをした怖そうな先生とか骨格標本とか…。
光井:耳が痛い!私も自分の治療院のサイトに腕組みした写真を載せていました(笑)。当時はどこも似たような感じでしたから、ポータルズの顧客視点、女性視点のホームページ作りは斬新でしたね。実際に集客が数倍になった治療院も多く、ポータルズは注目の存在になっていきました。この業界でWEBが集客ツールとして成長できたのは、ポータルズの功績です。
宮内:「文章はわかりやすくシンプルに」「写真は笑顔で」など、アドバイスをしながら、私たち自身もノウハウを蓄積していきました。「女性が行きたくなる魅力的なホームページ」はポータルズの最大の強みです。おかげさまで、ご紹介のみで制作実績は1000院以上、全国のお客様からご依頼をいただけるようになりました。
ポータルズは女性が活躍できる会社としても知られています。
宮内:社員は全員女性です。イラストレーターや漫画家もいて、それぞれが個性を発揮できるチーム作りをしてきました。子育て中の主婦が中心だったので、インフルエンザがはやったりすると大変でしたね。振り返ってみると、女性ばかりの組織は苦戦続きでしたが、彼女たちがいるから私もここまで頑張れた。「女性が輝ける」ことは、ポータルズの大切なコンセプトです。
スタッフ全員が女性
男性の経営者への交代に不安もあったが
コミュニケーションを重ね徐々に解消
光井社長は治療家でいらっしゃいますね。
光井:はい。2000年代に開業し、たくさんの方々にお世話になって、治療院15店舗、社員100人を超えるまでに成長しました。ただ、治療院事業は2022年3月に売却しました。2019年頃から取り組んでいる、治療院の経営についてのプラットフォーム「治療家オンラインサロン」「治療家オアシス」などの事業に注力するためです。
宮内:クライアントの先生方に経営についての知識や情報を持ってほしいと思い、2年ほど前に光井さんのオンラインサロンに入会しました。会社の譲渡を考えるようになったのは、光井さんから会社を売却するとお聞きしたのがきっかけです。
後継者がいないこともあり、数年前から会社の将来について悩んでいました。これまで営業活動をしてきませんでしたが、私も年を重ね、競争も激しくなる中で、この先みんなを守っていけるのか? もし仕事がなくなったら? 病気になったら? 私が経営を続けられなくなったからといって、会社を簡単にやめるわけにもいかない。今回の経験から私が学んだことの一つが「出口戦略」の重要性です。私は光井さんのお話を聞いて「会社って売れるんだ!」と目から鱗が落ちるような思いでしたが、会社を始めたそのときから出口戦略を持つことがとても大切だと思います。
お相手選びの決め手を教えてください。
宮内:光井さんなら、ポータルズのことをよく理解して、大切にしてくださると思ったことです。経営に長けていらっしゃるし、オンラインサロンなど新しいサービスを立ち上げる勢いもあるので、ポータルズを成長させてくださるだろうとも思いました。
光井:治療院業界にとって、ポータルズはこれまでもこれからも多くの治療院を支えていく、なくてはならない存在です。その存在価値を十分に理解している人間が引き継ぐべきだと思いましたし、私はちょうど治療院事業を売却し、コンサル活動を軸に多くの治療院をサポートしていこうとしているところだったので、互いの親和性が高く、相乗効果を生み出せるだろうと考えました。宮内さんの会社、社員への深い思いをよく知っていたので、後を継いで頑張りたいという気持ちも大きかったです。
M&A成約まで不安や迷いはありましたか?
光井:ポータルズを引き継ぐと決めてからは、迷いはありませんでした。私は売却もストライクさんにお願いしたので、ストライクさんへの信頼もありましたね。レスポンスが早く、ずば抜けてスピード感がある。
宮内:丁寧で親切な対応でした。私の思いもよく聞いてくださったと思います。
光井:売り手、買い手の両方の意見をよく聞いた上で、中立的な立場をうまく保ってくれる。どちらかに傾いたりしない。ストライクさんは信頼できる会社だと思っています。
M&A後の社員の皆さんの反応は?
宮内:男性の経営者というだけで不安がる社員もいましたし、戸惑いはあったと思います。でも、光井さんが何度か足を運んで一人ひとりと話してくださったおかげで、打ち解けてきたと思います。
光井:ポータルズは“宮内さん=優しいお母さん”が中心のアットホームな組織ですから、すぐに受け入れられるとは思っていませんでした。社員の皆さんが不安に思うのは当たり前なので、まずは良い印象を持ってもらえるように、毎回おいしいお菓子を持参しています(笑)。
宮内:ようやく落ち着いてきて、ホッとしているところです。何でも率直に話す社員が多いので、光井さんは大変かも(笑)。
光井:治療家の世界は基本、男性社会なので、これまで自分が知っている世界とはやっぱり雰囲気が違います。でも、いろいろ勉強になるし、すごく楽しませてもらっています!ポータルズの言わば“象徴”である宮内さんが社長を続投してくださっているので、社内的にも社外的にも安心感があるのは非常にありがたいと思っています。
歴史や長所、思いを受け継ぎながら
新しいことにも取り組み
“新生ポータルズ”を育てたい
どのような相乗効果を期待されていますか?
光井:私が治療家としてお客様対応をすることで、もっと多くのお客様にポータルズのサービスを提供していきたい。ポータルズが治療家もいるプロフェッショナル集団になった、その効果を存分に発揮できるようにしたいです。
宮内:光井さんのご紹介で、新しいお客様にどんどん出会えるのはうれしいです。今までにない忙しさですが、社員も前向きに頑張ってくれています。
これからも「女性が輝ける会社」というコンセプトは変わらない?
宮内:女性が社会の中で自分の役割を持ち、「貢献できている」という充実感を得るのはとても重要なこと。これからも女性がありのままで輝ける社会のありかたを考え続けていきたいと思っています。
光井:女性が輝けることは、ポータルズの看板の一つです。私も含め多くの人が共感するところなので、今後ともこのコンセプトは大切にしていくつもりです。
今後の目標や事業プランをお聞かせください。
宮内:社長は社員一人ひとりの人生を背負っていますから、会社を譲渡するという自分の決断が本当に正しかったのかどうか不安に思う気持ちが全くないと言うと嘘になります。でも、社員も頑張ってくれていますし、自分の決断が正しかったと思えるように、これからも頑張りたいです。
個人的には、光井さんに経営を託して肩の荷が下りたので、自分のエネルギーを自分のために割いていこうかなとも思っています。例えばSNSを活用して、日本の何かを世界に紹介するようなことがしてみたいですね。
光井:私の役割は、業績を伸ばし、社員の待遇面の向上に全力で取り組むこと。将来的には事業の拡大も必要で、いずれ治療院以外の業界、例えば歯科医院などへの進出を視野に入れています。
宮内:自費診療のマーケティングには自信があります!歯科医院や医院のお客様に対して、これまでのノウハウを生かし貢献するチャンスは十分にあると思います。
光井:ポータルズの歴史や長所、宮内さんの思いを大切に受け継ぎながら、新しいことにも取り組んで、これまで以上に価値のある“新生ポータルズ”を育てる。それが会社と社員、そして治療院業界の発展につながると思っています。
本日はありがとうございました。
本サイトに掲載されていない事例も多数ございます。
是非お気軽にお問い合わせください。
他のインタビューを読む
-
INTERVIEW No.45
栗の加工食品製造を62年
「岩間の栗」を全国ブランドに
夢を託して会社を譲渡
~2代目社長が65歳で下した決断~- #後継者不在
- #成長加速
- #戦略的M&A
- #老舗
- #外食・食品関係
-
INTERVIEW No.47
ブランドを刷新し、新商品も開発
働き方の改善で従業員の士気も向上
~経営不振の老舗洋菓子店、M&Aからの再生- #後継者不在
- #成長加速
- #企業再生
- #老舗
- #外食・食品関係
関連情報
ストライクのサービスSERVICE