ご成約インタビュー No.114
INTERVIEW
G-7ホールディングス、ブランド腕時計ECサイト「neel」譲受でEC事業を本格化
- #成長加速
- #事業拡大
- #戦略的M&A
- #小売業

株式会社G-7ホールディングス
代表取締役社長 岸本 安正 氏
成長戦略推進室 箕浦 雅一 氏
株式会社G-7ホールディングス(兵庫県神戸市)は、「オートバックス」と「業務スーパー」を核に全国に躍進するメガフランチャイジー(FC)です。
同社は2024年11月、EC事業の強化を目的として、「neel(ニール)」で知られるブランド腕時計ECサイトを運営する株式会社新流(大阪府豊中市)を子会社化した。今回のインタビューでは、G-7ホールディングスの代表取締役社長 岸本安正氏、M&Aの窓口となった成長戦略室の箕浦雅一氏にM&Aの背景や狙い、今後の展望についてお話を伺った。
スピード感を持った成長戦略が強み
御社の事業内容や強みについて教えてください。

岸本:株式会社G-7ホールディングスは、1975年の創業以来、車関連商品・サービス、食品関連、生活用品の販売を通じて成長してまいりました。特に「オートバックス」と「業務スーパー」の2大FC事業を中心に600店舗以上を運営し、東証プライムに上場しています。当社の強みは、「全てが早い」ということです。通常3ヶ月かかる出店準備を半分ほどの期間で完了させることができます。オートバックス事業では、私が参画した当初は10店舗程度でしたが、かなり速いペースで出店を進めました。業務スーパーについても、当初は赤字でしたが、一定のエリアに集中して出店するドミナント戦略で1年間に20店舗ほど出店し、翌年には売上が130%になるなど、驚異的な成長を遂げました。また、当社は、「見込みがないものはすぐ見直す」という決断の早さも特徴です。過去には、いろいろな不採算事業からの撤退もしましたが、その分、オートバックスや業務スーパーなどの成功に繋げることができました。M&Aにも積極的に取り組んでおり、食品卸のジャパンフードサービスや、海外に車を輸出するクラウントレーディングなど、様々な分野の企業をグループに迎え入れ、業容拡大を図ってきました。
新流様の譲受を検討されたきっかけについて教えてください。
岸本:当社では、以前からEC事業の必要性を感じており、各事業会社で少しずつ取り組んでいましたが、なかなかうまくいきませんでした。価格競争に勝つためには、仕入れ価格を抑える必要がありましたが、自社でEC事業を1から立ち上げ、広告費をかけながら、競合他社に勝つことは非常に難しいと感じました。そこで、既存のEC事業会社を譲受し、ノウハウや顧客基盤を活用することを検討しました。そこで、ストライクさんに相談したところ、新流をご紹介いただきました。新流は、腕時計のEC販売で実績があり、以前から興味を持っていました。既存事業とは異なる分野でEC事業を立ち上げたいと考えていたため、腕時計という商材も魅力的でした。
ECのプロフェッショナルの力を借りて事業成功へ
どのようなシナジーを見込んでのご決断でしたか?

岸本:一番の決め手は、新流の玉江社長の存在です。玉江社長は、楽天市場のショップオブザイヤー(顧客投票や売上実績など楽天市場で最優秀な店舗を選出する表彰制度)を長年受賞されるほどのECのプロフェッショナルです。当社は、ECのノウハウが不足しており、玉江社長の力を借りなければ、EC事業を成功させることは難しいと考えていました。
箕浦:新流は、EC業界で25年の歴史があり、腕時計のEC販売のパイオニア的存在です。並行輸入品ではなく、メーカーから直接仕入れた商品を販売することで、セイコー、シチズン、カシオなどの国内メーカーから信頼を得ています。また、横浜に2つのリアル店舗を構えており、顧客だけでなく、海外のメーカーからも信頼されています。EC事業は、5、6人で運営している会社が多い中、30人以上の従業員を抱え、デザイン力も高く、メーカーのカタログをそのまま掲載するのではなく、自社で店舗と同じような形で商品を販売しています。玉江社長のECに関する知見や、新流の組織力、デザイン力は、当社にとって非常に魅力的でした。
今後の協業内容を教えてください。
岸本:新流が持つ商品の開発力を活かしオリジナル商品の開発に力を入れていきたいです。また、EC販売だけでなく、自社で開発したオリジナル商品の卸売販売にも挑戦していきたいです。
箕浦:現在、当社のネットストアの代表が、玉江社長にEC事業について相談している段階です。新流のノウハウを活用し、今後、どのような商材を扱っていくかなど、お互いの知見を活かし、協業を進めていきます。
M&Aを積極的に活用し、事業規模の拡大を目指す
御社のM&A戦略について教えてください。

岸本:当社は、オートバックスと業務スーパー以外の事業は、ほとんどM&Aで譲受した会社です。既存事業であるオートバックスと業務スーパーは、出店によって成長を続けていますが、新規事業については、M&Aによって成長を加速させていきたいと考えています。5年ほど前、中期経営計画で売上高2500億円という目標を掲げました。既存店舗の売上成長だけでは目標達成は難しいと考え、M&Aを積極的に活用することにしました。新規事業を1から立ち上げるには、時間も労力もかかります。M&Aであれば、既に軌道に乗っている事業をグループに取り込むことができ、成長を加速させることができます。今後もM&Aを積極的に活用し、事業規模の拡大を目指していきます。
これまで多くのM&Aを検討された中で、特に成功したと思える案件はありますか?
岸本:2015年にミートテラバヤシという精肉加工会社をM&Aで子会社化しましたが、これは大成功だったと言えるでしょう。ミートテラバヤシは、もともと横浜の会社でしたが、当社のグループに入ってからより一層、業務スーパーの店舗にテナントとして入ることで、他地域にも店舗数を拡大することができ、利益の大幅な増加にも繋げられました。譲受時の店舗数は100店舗弱でしたが、現在は193店舗にまで拡大しています。ミートテラバヤシにとっても、当社にとっても、非常に良いM&Aになりました。
今後、注目している業界や、新規事業の開拓方針について教えてください。
岸本:今後は、既存事業とは全く異なる業態で、第3の柱となる事業をM&Aで作りたいと考えています。業界に強いこだわりはありませんが、ネットで販売できることを基準に考えています。
ストライクの担当者やサービスはいかがでしたか?

左から
G-7ホールディングス 成長戦略推進室 東京オフィス 稲垣 啓 氏
G-7ホールディングス 代表取締役社長 岸本 安正 氏
G-7ホールディングス 成長戦略推進室 箕浦 雅一 氏
ストライク 有田 匠吾
ストライク 大塚 昌典
岸本:新流という素晴らしい企業を譲受できたことが全ての結果です。今回のM&Aは、ストライクさんがいなければ、実現しなかったと思います。
箕浦:大塚さんは案件を推進するプレイヤーとして、実務面では有田さんにご尽力いただきました。特に新流とのコミュニケーションが非常に密接で、その点が良かったと思います。ストレートに思いをお伝えすることもありましたが、信頼関係があったからこそ、本心をお伝えすることができました。今回のM&Aが成功したのは、ストライクさんのお力があってこそだと思います。
今後M&Aを検討されている経営者の方にアドバイスをお願いします。
岸本:経営者にはそれぞれの考え方があるため一概に言うのは難しいのですが、M&Aは自社の成長戦略の一つとして、有効な手段だと思います。M&Aを検討する際は、自社の状況や目標を明確にし、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要だと思います。
本日はありがとうございました。
M&Aアドバイザーより一言(大塚 昌典・事業法人部 シニアアドバイザー談)

新流様は時計のEC販売のパイオニアとして、大手メーカーとの長年の取引を通じて強固な信頼関係を構築されています。また、玉江社長の力強くも繊細な経営手腕により、高い収益性を実現されており、弊社へのご依頼を頂いた当初より、非常に魅力的な企業様という印象を持たせていただきました。ディールが進む過程でいくつか課題も出てきましたが、その都度有田さんが玉江社長と箕浦様の間で丁寧に議論を重ねてくれたおかげで、両社ご納得のもと本件の進行ができました。有店舗業態・メガフランチャイジーとして有名なG-7ホールディングス様と、EC販売のスペシャリスト集団である新流様の強力なタッグの今後の更なる発展を祈念しております。
M&Aアドバイザーより一言(有田 匠吾・事業法人部 アドバイザー談)

新流様は腕時計、ペット用品、食品のEC販売を営む業界でも知名度の高い企業様でした。腕時計の販売を軌道に乗せ、次にペット用品、食品と取扱品目を増やし業績を伸ばされておりました。玉江社長に当初お会いした際、会社をこの先どうやって伸ばしていくかをという点を突き詰めて考えられている姿が印象的でした。G-7ホールディングス様は、オートバックスや業務スーパーなどの店舗展開に強みを持つプライム市場上場企業です。EC事業の強化という経営戦略のもと、本件を推進いただきました。本件を通して岸本社長、担当の箕浦様は玉江社長と何度も面談を重ね、将来のG-7グループ様、新流様の成長という観点で議論いただきました。面談に同席させていただく中、両社様が同じ方向を向いていることがはっきり伝わってきておりました。今回のご縁が最良のものであったと確信しております。今後の両社様の発展を心から願っております。
2025年3月公開
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