ご成約インタビュー No.104
INTERVIEW
製造からメンテナンスまで一気通貫の価値提供へ
プラント工事のプロフェッショナルが描く、大手コンベヤメーカーとの新たな挑戦
- #事業拡大
- #戦略的M&A
- #従業員雇用
- #製造業
株式会社高橋汽罐工業 代表取締役 高橋 徹 氏
株式会社高橋汽罐工業 常務取締役 小野 豊 氏
株式会社JRC 代表取締役社長 浜口 稔 氏
株式会社JRC 取締役CFO兼CSO 常川 陽介 氏
株式会社高橋汽罐工業(神奈川県横浜市)は1963年の設立以来、60年以上にわたり、主に原子力・火力・バイオマス発電所などの工事業務で確固たる実績を持つ。同社は事業継承や人手不足の課題を解決し、さらなる成長を遂げるべく、2024年9月に屋外用ベルトコンベヤ部品の設計・製造・販売を手掛ける株式会社JRC(大阪府大阪市)に全株式を譲渡した。譲渡までの道のりや、M&A後に見込まれるシナジーについて、高橋汽罐工業の代表取締役社長高橋氏と常務取締役小野氏、JRCの代表取締役社長浜口氏と取締役常川氏にお話を伺った。
一気通貫で価値を提供できるようM&Aを検討
事業内容や特徴をお聞かせください。
高橋:元々東京電力火力発電所のメンテナンス業務を行っていて、ボイラー本体の蒸気を作る部分や蒸気でタービンを回して電気発電をする部分のメンテナンスを中心に60年ずっと業務を行ってきました。そして、今に至っては、ボイラー本体だけではなく、JRCさんのコンベヤのメンテナンスにも携わっています。
浜口:株式会社JRCは屋外用のベルトコンベヤの部品を作っている会社です。もう一つの事業として、ロボットSIの事業も行っています。近年、部品の納入だけではなく、部品の取り付け工事であったり、その後のメンテナンスであったり、お客様からワンストップでやっていただきたいという需要があるので、工事分野にも事業を広げているところです。
M&Aを検討されたきっかけはなんですか?
高橋:3年前に、とある上場企業から当社を譲り受けたいと直接言われ、そのときはお断りしました。その後、ストライクさんから新たに提案を受けて、お話を聞いたのが検討し始めたきっかけです。それから色々考えて、別会社様とのお話を2年ほどかけて進めていたのですが、様々な要因でM&Aのお話がなくなってしまいました。もう諦めようかなとも思ったのですが、せっかく気持ちが決まっていたので、このままM&Aの話を進めてもらおうと思い、お相手探しから再スタートしました。かれこれ3~4年前から譲渡の準備や手続きを進めていましたね。
3年前にお断りされたのはどうしてですか?
高橋:お相手の会社が大きすぎて、単に飲み込まれて終わりかなと思ったからです。そこからストライクさんからご提案をいただいた会社が、知っている同業者で、活躍できる未来が見えたのでお話を進めていただきました。
新たに活躍できるステージを求めて
一度諦めかけられたM&Aを再び進めようと思われたのはどうしてですか?
高橋:自分たちでこれまでやってきて、もう限界のようなものを感じていたところもありましたし、人手不足もありました。それに、新たに活躍できる場ができたらいいなという思いがあったのが一番です。
JRC様がM&Aに踏み切られた理由はなんですか?
浜口:成長戦略の一つとしてM&Aを基軸に置いているところがあります。そういった中で物品の納入だけではなく、工事メンテナンスというアフターフォローも含めたトータルソリューションの提供力を強化していきたいと考えてきました。その中で、プラント工事を得意とする高橋汽罐工業さんの技術や知見が、当社の事業と非常に親和性が高く、お互いのユーザー層も近いことからシナジーを強く感じ、今回のM&Aを進めたいと思いました。
第一印象が決め手となって
トップ面談ではどのような印象を受けられましたか。
浜口:すごくフランクにお話していただけて、実直で真面目なうえ、優しそうな方だという印象を受けました。我々もそのような真面目な会社なので、うまくいくのではないかなと思いました。
高橋:私もやっぱり第一印象がとても良かったです。最初の面談で5人くらいの関係者の皆様とお会いしましたが、皆様お人柄が魅力的で、第一印象で譲渡先はJRCさんだと思いました。
お互い、どのようなシナジーを見込まれてのご判断でしたか?
高橋:JRCさんはコンベヤの製造をされていて、当社はコンベヤのメンテナンスもしていたので、事業領域が非常に重なり合っていると感じました。特に、JRCさんの製造力と当社のメンテナンスのノウハウを組み合わせることで、お客様にとってより質の高いサービスを提供できると考えています。この協業を通じて、お互いの強みを活かしたシナジーが期待できると思いました。
浜口:我々が目指すのは、設計からメンテナンスまで一気通貫でお客様にサービスを提供することです。当初、高橋汽罐工業さんはボイラーを中心に事業展開されているイメージだったのですが、最近はコンベヤのメンテナンスも多く手掛けているとのお話を伺って、これは抜群にマッチすると感じました。このM&Aにより、工事メンテナンス分野での受注増加や、トータルソリューション提供力の強化が期待できます。コンベヤ今後も一緒に力を合わせて、さらに大きなシナジーを生み出していきたいと思います。
高橋汽罐工業様は他の会社様からも沢山お声がけがあったと伺いました。その中でもJRC様を選ばれた決め手は何でしたか?
高橋:やっぱり第一印象です。JRCさんの皆さんに惹かれました。本当に素敵な方たちだなと感じて、深く付き合っていきたいと思いました。どこの世界でも人付き合いは大切なので、そこは一番重点に置きましたね。
譲渡先に求めた条件はありましたか?
高橋:当社の社員が活躍できるところでないといけないと思っていました。
社員の活躍、という点をJRCさんでも大切にされていたのが決め手でした。
JRC様もその点は大切にされていたのでしょうか?
浜口:我々のM&Aのポリシーとして、ともに良くなることを大切にしています。M&Aを進めて、買い手だけが良くなるというケースも中にはあるかと思うのですが、それでは長続きしないと思います。お互いの会社がそれぞれ成長できるようなやり方を進めたいなと思っています。
高橋汽罐工業様が譲渡のお話を社員の方にされたときの反応はいかがでしたか?
高橋:成約式の後に、各部門長に「譲渡することになりました」と伝達しました。私が話したときにはあまり反応はなかったです。
小野:私のところにはたくさん問い合わせがありました。「どうなったんですか」「今後どうなってしまうんですか」と問い合わせが殺到しました。説明する中で、JRCさんという上場企業が後ろ盾になったという強みや、安定感を感じてくれたと思います。コンベヤという、我々の事業の主体でもある部分のメンテナンスをメインでやってらっしゃるので、事業内容が通じるところもあり、社員は喜んでいると思います。
今後の展望を教えてください
浜口:グループとしての総合力を発揮して、働く社員がより幸せを感じられる環境を整えつつ、お客様に対してしっかり貢献できるような企業グループになっていくことが我々の考え方であり目標です。
高橋:JRCさんは日本国内だけではなく、海外展開もされているので、一緒に事業を拡大していけたらと思います。
具体的な協業についてはどのようなことをお考えですか?
浜口:当社の取引先に長期的に常駐していただいて、工事に入っていただくことは考えています。もう既に小さな工事などは協業して進めています。
小野:JRCさんから役員の方1人が当社に常駐で入られていて、10年後の具体的な目標などをお話いただき、今後のプランがより明確になりました。10年かけて、先を見据えて成長戦略を考えることがすごくワクワクしますし、楽しいです。
ストライクの担当者やサービスはいかがでしたか?
高橋:1年半ぐらい一緒に進めてきて、よくやっていただきました。
常川:他の仲介会社がいる中でも、ストライクさんは高橋社長に我々の良さをしっかり理解して伝えてくれたと信じていますし、結果としてお話が順調に進んだので本当に良かったです。また、デューデリジェンスのときは、管理面をしっかりと見ないといけない中で、山口さんが現場に行って資料を全部用意してくれるなど、黒子としてよく働いていただきました。また、最終局面の段階ではお互いに言いにくいこともある中で、ストライクさんのおかげで上手くいったこともたくさんあると思います。
浜口:小牧さんも山口さんも人柄がいいので進めやすかったです。そこが一番ですね。
M&Aをご検討されている方々にアドバイスやメッセージをお願いします。
浜口:事業拡大においてM&Aは非常に有効かつスピーディーな手段だと思いますので、事業戦略としてうまく活用するのは考え方の一つとしてとしてあるのかなと思います。我々はそのような戦略をメインで考えていますので、他の会社さんにおいても有効な手段になり得るのではないかなと思います。
高橋:経営者として社員が活躍できるところを見極めることが一番だと思います。
本日はありがとうございました。
M&Aアドバイザーより一言(山口 剛史・事業法人部 アドバイザー談)
高橋汽罐工業様は、原子力・火力発電所等のプラント工事における高い技術力を有し、業界での知名度と、確固たる実績を持つ工事会社です。
今回、高橋社長の「従業員がさらに活躍できる場を探したい」「一生に一度の決断であるから後悔したくない」という想いから、20社を超える会社とお会いし、ご満足いただけるお相手を、ご一緒にお探しさせていただきました。
お相手となったJRC様は、浜口社長をはじめとした役員の皆様のお人柄が素晴らしく、トップ面談の雰囲気や高橋社長の笑顔から、この両社様なら良縁となると直感ながら感じておりました。M&Aという選択肢において、必ずしも明確な正解があるわけではありません。だからこそ私は、オーナー様の人生をかけたM&Aの決断に全力で応える使命があると思っています。約2年、様々な場面を乗り越え、最後までご一緒いただきました高橋社長に、この場を借りて御礼申し上げます。今後も両社様のさらなる発展を祈念しております。
2024年12月公開
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