INTERVIEW

ゼロから切り拓いた中古車ビジネス
社長夫婦が描くセカンドライフへの道のりとは

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有限会社アラジンファクトリー 前代表取締役社長 小野 昌博 氏、前専務取締役 小野 美香 氏

有限会社アラジンファクトリー
前代表取締役社長 小野 昌博 氏
前専務取締役 小野 美香 氏

千葉県野田市に拠点を置く中古車販売業の有限会社アラジンファクトリー。もともとプロの二輪オートレーサーを目指していた小野昌博氏が35年前に創業した同社は、ユーザー車検の代行業からスタートし、50人ほどの社員を有する企業へと成長した。2024年1月、同社は経営を投資ファンドのきらぼしキャピタル(東京都港区)に譲渡し、新たな一歩を踏み出した。譲渡の背景には、早期リタイアを希望する小野氏の思いや、会社のさらなる成長を見据えた戦略があった。50代後半でM&Aを決断した前社長の小野氏と妻で前専務の美香氏に、M&Aの経緯や今後の展望を伺った。

有限会社アラジンファクトリー
ご成約インタビュー動画

二輪オートレーサーをあきらめ中古車販売業へ
手探りで始めたビジネスが大ブレイク

まず、アラジンファクトリー創業の経緯や事業内容を教えてください。

小野昌博氏(以下、昌博氏):私はサラリーマン経験がゼロなんです。18歳で高校卒業後、プロのオートレーサーを目指し、サーキットで走りながらアルバイトをしていました。高校の同級生だった妻と結婚し、子どもができたので、何とか家族を養わなくてはと思い、ユーザー車検の代行業を始めたんです。今のようにスマホの検索ツールなどない時代ですから、当初は手作りのチラシを配るなど、顧客集めに苦労しましたね。手探りで始めた仕事でしたが、次第に多くのお客様から受注をいただくようになり、売上は順調に伸びました。その後、オートレーサーの夢をあきらめて中古車の販売事業にシフトし、業績はさらに拡大していきました。

小野美香氏(以下、美香氏):人が起業する場合、一般的にはどこかの会社で働いて、その経験をもとに独立する…というパターンが主流ですよね。夫の場合は、何もバックボーンがない状態での起業だったので、当時は周りから大反対されました。でも、私は看護師だったので、まあ失敗しても、私が仕事をすれば何とかなると思っていましたね。子育てをしながら、会社では専務として経理や総務の仕事を担当し、夫と二人三脚で10年、20年、30年と続けてきました。最初は4人ほどだった社員の数も、業績とともに増えていき、現在は50人ほどになりました。

35歳のときに早期リタイアを希望
優秀な従業員の存在が、M&Aを考えるきっかけに

まだ50代後半のお二人。業績が好調の会社を、なぜ譲渡しようと思われたのですか。

有限会社アラジンファクトリー前代表取締役社長 小野 昌博 氏
有限会社アラジンファクトリー前代表取締役社長 小野 昌博 氏

昌博氏:私たちは今年で58歳ですが、じつは35歳のころに一定の資産もできたので、40代までに早期リタイアしたいと考えていたんです。創業からずっと、平日は休みなく働いてきたので、そろそろ仕事以外の趣味などにゆっくり没頭したいという気持ちや、子育てしながら会社を支えてくれた妻と一緒にのんびりしたい、ラクをさせてあげたいという思いがありました。しかし事業がどんどん拡大したことで、会社を手放すタイミングがないまま、今日まで走り続けることになりました。息子と娘はすでに家から出て、それぞれ別の仕事をしているため、会社を継がせたいという考えはありません。従業員の中に石川という優秀な人材がいて、彼になら次の社長を任せられると確信したことが、本格的にM&Aを考えるきっかけになりましたね。

社内に次期社長候補がいたにも関わらず、第三者承継を選んだ理由を教えてください。

昌博氏:私は早期リタイアを希望してはいますが、会社のために自分のやるべき仕事には全力で取り組みます。白か黒か。やるかやらないか。ほどほどに関わるということができない性格なんです。そこで、次期社長候補だった石川に、こんな相談をしていました。今後、ある程度の資産ができたら、そのときは自分にブレーキを踏ませてほしい。第三者承継によって、わが社の業績はさらに上向いていくことが予想される。伸びしろの多いこの会社を二代目社長として率いてほしい、と。

前専務取締役 小野 美香 氏
前専務取締役 小野 美香 氏

美香氏:10人ほどの会社なら、そのまま次の社長にバトンタッチしてもうまく引き継げそうですが、私たちが抜けたあと、50人ほどの組織を統括し、会社を成長させていくとなると、次期社長の石川に大きな負担がかかります。石川の負担をできるだけ減らし、これまでわが社が抱えていた、管理系人材や営業、ドライバーの不足などの課題を解決するには、M&Aによる譲渡が最善の戦略だと考えたのです。

3年前の失敗を経て再チャレンジに成功
課題解決や成長戦略への姿勢が決め手に

お二人で築いてきた会社を譲渡する際の条件や希望として、どんなことを挙げましたか。

昌博氏:じつは、3年前に一度M&Aにチャレンジしたのですが、そのときは、こちらの意図や方向性とかみ合わず、うまくいきませんでした。その後、日興証券さんからストライクさんを紹介いただき、担当の吉川さんに再度、仲介をお願いすることに。契約に関わるお金や従業員の給与などの条件のほか、二代目社長の石川がのびのびと仕事ができる体制を作ること、必要な人材を確保すること、などの希望も伝えました。

譲渡先となった「きらぼしキャピタル」の印象や、選んだ理由を教えてください。

昌博氏:フレンドリーで親しみやすい対応に、早い段階から好感を持ちました。わが社の方針ややり方を尊重していただき、営業面でも自由にやらせてもらっています。私と妻がいずれ会社から手を引くことも理解いただき、スムーズに引き継ぎできる方法を考えてくださっています。また、わが社では見つけにくかった人材の確保についても、役員候補をはじめ、豊富な経験を持つ方の面接をセッティングしていただいているところです。会社の業績をさらに伸ばせる、いいお相手と出会えたことを、本当に嬉しく思っています。

ストライクのサービスや担当者の対応はいかがでしたか。

有限会社アラジンファクトリー 前代表取締役社長 小野 昌博 氏、前専務取締役 小野 美香 氏、ストライク吉川
小野ご夫妻のご自宅にて
(写真右がストライクの吉川)

昌博氏:ストライクの吉川さんとは約2年の付き合いですが、心から信頼できるパートナーだと思っています。契約書の内容や従業員の給与などについても、真摯に向き合って交渉してくださり、安心して任せることができました。

美香氏:吉川さんはイケメンで物腰が柔らかく、知識も豊富で、とても信頼できる方です。これまでの細やかなサポートに大変感謝しています。

M&Aは理想のゴールに向かうためのスタートライン
妥協せず、最適な選択肢を見つけてほしい

従業員にはどのようなタイミングで会社の譲渡を伝えましたか。また、皆様の反応はいかがでしたか。

アラジンファクトリー社の社屋外観
アラジンファクトリー社の社屋外観

昌博氏:従業員たちには毎月、会社の売上や今後の方針などの情報を伝えており、M&Aのことも事前に知らせていました。今回のM&Aの成約式で、私と妻がストライクの東京本社を訪れている際、会社では次期社長の石川が従業員を集め、「今、わが社のM&Aが締結した。これからはみんなで会社を盛り上げていこう」と伝えたそうです。従業員たちも理解を示し、今後の会社の成長に期待しているのを感じています。

美香氏:成約後、二代目社長となった石川は、従業員一人ひとりと面談を行い、組織をまとめてくれています。これからは、私たちが築いてきたことを継承しながらも、彼なりの新しい方法を取り入れて会社を導いてくれると思います。

M&Aの成約から約4か月。お二人の状況や気持ちの変化はありましたか。

昌博氏:まだ4か月なので、私も妻もこれまで通りの仕事を続けており、大きな変化は感じていません。社内での呼び方が「小野社長」から「小野さん」に変わったことくらいでしょうか。いつになったら平日に休むことができるのか、まだ先は見えませんが、会社の成長を見守りながら、徐々にフェードアウトしたいと考えています。いつか会社が自分の手を完全に離れたとき、やっと実感が生まれるような気がします。

美香氏:結婚して二人で会社を立ち上げて、4~5人の社員からスタートし、40人,50人と会社が成長していきました。私も経理や総務などに携わってきたので、会社がそのまま人生のような感覚でした。今は、無事に譲渡できて、ほっとしたような気持ちです。その反面、スムーズに引き継ぐのは大変だという思いもありますね。

引継ぎを終えたあとのセカンドライフについて、どのようなことを検討していますか。

昌博氏:創業からずっと走り続けてきたので、まずは「何もしない日」を作ること。夜中の3時まで好きな映画を観て寝落ちする生活なんて、最高ですよね。それから、自分と妻の趣味であるゴルフを平日にしたり、プロスポーツの試合を海外まで観戦に行ったりするのもいいですね。

美香氏:これまでは子育てと会社に翻弄されていたので、引継ぎがきちんとできて、これまでと別の目線で会社を見ることができるようになったら、自分の時間をどんなふうに過ごしていくか、じっくり考えたいですね。

これからM&Aを検討している方々に、アドバイスをお願いします。

昌博氏:M&Aにはさまざまなパターンやタイミングがありますが、妥協せず、自分たちに最適な選択肢を見つけることが大切です。ストライクのサポートを受けながら、自分たちの条件や希望をしっかりと伝えることが、会社の成長や発展につながると思います。

M&Aの成約は、私たちの新たなスタートラインです。ここから自分たちの目指すゴールに向かって、一歩ずつ進んでいきたいと思っています。

本日はありがとうございました。

M&Aアドバイザーより一言(吉川 雄太・企業情報部 シニアアドバイザー談)

ストライク吉川 雄太

アラジンファクトリー様はその仕入・販売力や査定ノウハウなどを競争力の源泉として中古車卸業界で独自のポジションを築き、業績も堅調に推移している優良企業でした。
後継者候補の方が社内にいらっしゃったことから、自社単独で引き続き事業運営していくことも十分に可能であったと思います。
しかしながら、今後もさらに安定して成長していくためには更なる人材の獲得と労務など管理面の強化が必要であるとご認識されており、それらの手厚いサポートが期待できるきらぼしキャピタル様へ譲渡することをご決断されました。
小野社長(役職当時)、同氏奥様の小野専務(役職当時)は、譲渡後も一定期間は事業に関与されています。経営者としても、夫婦としても魅力的なお二方のハッピーリタイアのお手伝いができ、心より嬉しく思います。

本サイトに掲載されていない事例も多数ございます。
是非お気軽にお問い合わせください。