INTERVIEW

患者さんに愛される歯科クリニック
地域医療を支え続けるため
新たな経営体制をスタート

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  • #セカンドライフ
  • #介護・医療
医療法人社団水谷歯科クリニック 水谷 忠司 氏 水谷 圭子 氏 ご夫妻

医療法人社団水谷歯科クリニック 水谷 忠司 氏 水谷 圭子 氏 ご夫妻

医療法人社団水谷歯科クリニック(三重県桑名市)は1978年の開業以来、長年にわたって地域医療の一翼を担う歯科医院である。患者さん第一の診療体制を有し、急患にも積極的に対応して地域の人たちの人気と信頼を集めている。理事長・院長の水谷忠司氏は後継者問題解決のため、2023年5月、サステナブルなヘルスケアプラットフォームの構築を目指し、医療法人の経営支援などを展開する株式会社地域ヘルスケア連携基盤(CHCP)の経営支援を受けることを決めた。決断に至るまでの経緯やクリニックの今後について、水谷氏、クリニック運営を支えてこられた奥様の圭子氏にお話を伺った。

夫婦二人三脚で開業・運営
患者さん第一の診療が評判を呼び
近隣の地域からも患者さんが集まる

開院の経緯を教えてください。

医療法人社団水谷歯科クリニック

忠司氏:1978年、大学を出て3年目に生まれ育った地元の人たちの役に立ちたいと思い、クリニックを開業しました。その頃は近隣に歯科医院がほとんどなく、開業1年前に「歯科医院建設予定地」という看板を立てたら、もう予約の問い合わせがありました。そのとき勤めていた医院からも数百人の患者さんが移ってきてくれて、あっという間に予約が埋まるようになりました。

診療の方針や特徴をお聞かせください。

忠司氏:一般的な保険診療をしっかり行うこと、痛いところ・悪いところをきちんと治すことが中心です。開業した頃は虫歯ができたら歯医者へ行くという時代でしたから、口の中の状態が悪い人が多かったですね。徐々に予防が主流になって、今はきちんと通院・管理できている患者さんが多いです。桑名市内だけでなく近隣の市町村からも通ってきてくれています。四世代にわたってみているご家族もいますよ。

一方で、「歯が痛い」と急患で来る人も依然として多いです。私は大学で長く教えていたので、教え子の先生たちから患者さんの相談や紹介を受けることもあります。

集患活動はなさらず、口コミで患者さんが増えているそうですね。

忠司氏:急患も含め、来た患者さんを全員、きちんと治して帰す。それだけです。20キロ圏内ぐらいに住む人は「困ったときは水谷歯科へ」と思っているのではないでしょうか。忙しいですが、歯が痛くて困っている人を放っておくことはできません。私にとって歯科医は天職であり、「優しい心を持つ」ことを信念に診療しています。

奥様と二人三脚で医院を運営してこられたと伺っています。

医療法人社団水谷歯科クリニック 水谷 忠司 氏 水谷 圭子 氏 ご夫妻
忠司氏が診療に集中できるよう診療以外のことはすべて圭子氏が担い、二人三脚で医院を運営してこられた。患者さんやスタッフを大切にするお二人の温かな人柄がクリニックの魅力となっている。「後継ぎがいませんので、事業承継について家内といろいろ考えていたときストライクさんから封書が届き、『一度、話を聞いてみようか』と。お話を聞いて、『元気なうちに患者さんを大切にしてくれる人にバトンタッチできるなら、それもいいね』と話し合い、ストライクさんにお願いしようと決めました」

忠司氏:私は診療のみ、それ以外のことはすべて家内がやってくれています。

圭子氏:開業すると決まってから、「歯科医師の資格がなくてもできることは全部やろう」と思ってやってきました。二人が本当に“たたき上げ”で育ててきた医院です。

忠司氏:スタッフのことも家内に任せています。コロナ禍の前は毎日、終業後に皆でお茶の時間を持っていました。スタッフは家族であり、アットホームなのが我が家の家風です。

圭子氏:昔は、働いてくれる若い女性たちを娘のように思っていました。うちで花嫁修業をしてもらうつもりで、言葉遣いや礼儀なども教えましたし、休日にお料理を教えたりもしていました。彼女たちも私を慕ってくれて、とても楽しかったです。でも、今はそういう時代ではありませんから、今回、お相手のCHCPさんから事務方の人が来てくださるようになってありがたいと思っています。

保険診療を軸に地域に根差した
医療システムの構築を目指す――
理念に共感できたことが決め手となった

事業承継について考えるようになったきっかけは?

忠司氏:息子が2人いますが、長男が歯科医師、次男が医師、二人とも東京にいて当院を継ぐことはありません。たくさんの患者さんのことを思うと閉院するわけにもいかない。いろいろ考えていたとき、ちょうどストライクさんから封書が届き、家内と二人で開封して「一度、話を聞いてみようか」と。第三者承継は考えていませんでしたが、私も70歳を過ぎ、「転ばぬ先の杖」で元気なうちに次へバトンタッチできるなら、それもいいなと思ったのです。

圭子氏:他の仲介会社さんのお話もお聞きした上で「ストライクさんが一番いい」と思いました。説明がとてもわかりやすかったです。

お相手のCHCPさんについてどのように感じられましたか?

忠司氏:CHCPさんとの初めての面談の前は、お見合いのような気がして期待と不安の両方がありましたが、実際にお会いして、誠心誠意、患者さんのために診療してきたクリニックの精神を受け継いでくださる方たちだと感じ、CHCPさんからの経営支援を受けると決めました。

特に共感したのは、保険診療を軸に地域医療のネットワークをつくるというコンセプトです。私はすでに40年ぐらい前、近くの医科の先生方に声をかけてネットワークをつくり、互いに患者さんを紹介し合っていました。医療は一人では完結しないので、ネットワークづくりがとても大切です。

保険診療を軸にするという方針も一致していますし、訪問診療も含め高齢者医療を充実させようという姿にも夢と希望が感じられ、このお話をお請けしようと決めました。

成約までに大変だったことはありますか?

忠司氏:私はノータッチ、すべて家内に任せていました。相当苦労したと思います。

圭子氏:大変でした!26年前に法人化したのですが、細かいことまでよく覚えておらず……。幸い広い医院で古い書類をすべて仕舞ってありますので、ストライクの浅見さんに「○○の書類が必要です」と言われるたび、あちこちひっくり返して探しました。税理士さんや銀行の方にも手伝っていただきました。

実は、顧問の税理士事務所が数年前に東京に本社のある大手事務所の傘下に入ったのですが、その事務所とストライクさんがお付き合いがあって、スムーズに進んだところもありました。手伝ってくださった皆さんに本当に感謝しています。

ストライクのサービスや担当者はいかがでしたか?

医療法人社団水谷歯科クリニック 水谷 忠司 氏とストライク浅見
決め手となったのは「保険診療を軸に地域医療のネットワークをつくるというコンセプトに共感できたこと」だと忠司氏は話す。
「CHCPさんに実際にお会いして、患者さんのために診療してきたクリニックの精神を受け継いでくださる方たちだと感じ、このお話をお請けしようと決めました。ストライクの浅見さんとはすごく楽しくやれたと思います。お互いスポーツが好きで、すぐに“意気投合”しましたね。成約できたらキャッチボールをしようという約束をしているので、ぜひやりたいです」
(写真左はストライク担当の浅見)

圭子氏:東京本社からいらっしゃるとのことで、ベテランの方が来るのかと思ったら、浅見さんは30歳!息子より若くてビックリしました。でも、すぐに頼りになる方だとわかり安心しました。裏がない誠実な方で、最初から信頼しておりました。

忠司氏:浅見さんとはすごく楽しくやれたと思います。私はスポーツが好きなので、浅見さんが野球をやっていると聞いて親近感を持ち、一気に距離が縮まりました。成約できたらキャッチボールをしようという約束もしました。まだ果たせていないので、ぜひやりたいです。

今後は適材適所で働ける体制にし
二人で趣味を楽しみたい

スタッフの方にはいつどのように伝えましたか?

忠司氏:成約してから、CHCPの方にも来ていただいて説明をしました。私も家内もいるし、仕事の内容も変わらないので、すぐに納得してくれました。特に不安もないと思います。

診療体制は変わりましたか?

忠司氏:まだ私と甥の二人体制のまま変わっていません。現在、CHCPさんが後継の歯科医師を探してくれているところです。私は可能な限り診療を続けるつもりですが、新しい医師が来たら適材適所で仕事ができる体制にしていきたいと考えています。「人に優しい」という信念を受け継ぎ、困っている患者さんの心に寄り添って治療できる医師に後を任せたいです。

プライベートな時間が増えたら、やりたいことはありますか?

忠司氏:ゴルフ、尺八、お茶――ありすぎて困るぐらいです(笑)。海外にも行きたいですね。私は長年、アジア各国で歯科治療のボランティア活動をしていました。活動を通して知り合った友達に会いにいきたいです。

圭子氏:主人は若い頃から仕事も趣味も全力、空を飛ぶこと以外、何でもやる人です(笑)。私は読書や歌舞伎が好きでタイプが違いますが、茶道は一緒に楽しみたいですね。今までは朝から晩まで、いつもクリニックの話をしていました。楽しかったし達成感がありましたが、これからは二人でプライベートを充実させられるといいですね。

ご自身の経験も踏まえて、
後継者のいない歯科医の先生へのアドバイスをお願いします。

忠司氏:私の周りにも後継者問題を抱える歯科医の仲間がいます。閉めて患者さんを他院に紹介するという方法もありますが、患者さんのことを思うと存続の道を探ることが大切だと思います。

そのためにも、自分のクリニックをこよなく愛してください。今回、こうして良いご縁に恵まれたのも、やはり当院の診療の内容や患者さんの評判をCHCPさんが評価してくださったからではないでしょうか。患者さんのことを一番に考えて、まじめにコツコツ診療を続けていれば、第三者承継を望んだとき、きっと良いお相手が見つかると思います。

本日はありがとうございました。

M&Aアドバイザーより一言(浅見 雄人・ヘルスケアチームアドバイザー談)

ストライク浅見

水谷歯科クリニック様は、開業から40年以上の歴史を持ち、桑名市で長年にわたり愛される歯科クリニックです。その理由は、水谷先生と奥様に初めてお会いしたとき、すぐにわかりました。先生方が大事にされている保険診療に対する理念や患者様に対する想いを伺い、地域に欠かせない歯科クリニックを維持することは非常に重要であると再認識しました。他のM&A仲介会社のお話も聞いた上で、ストライクに本件を任せていただきました。
先生方が大事にする理念や想いを引き継ぎ、地域医療への継続的な貢献とさらなる発展を実現できるお相手先としてCHCP様との成約に至りました。一番重要な理念や想いの部分が一致したことで、約半年という期間での契約締結をすることができました。
今後も両法人のさらなる発展・成長を願っております。

本サイトに掲載されていない事例も多数ございます。
是非お気軽にお問い合わせください。