ご成約インタビュー No.12
INTERVIEW
企業風土や価値観を共有できる相手を見つけることがM&Aの重要なポイント
- #事業拡大
- #選択と集中
- #組織再編
- #戦略的M&A
- #外食・食品関係
- #製造業
ホクト株式会社 専務取締役 きのこ販売本部長 小松 茂樹 氏
日本唯一のきのこ総合企業グループであるホクト株式会社(長野県長野市)。エリンギ、ブナシメジ、マイタケといった人気のきのこの開発から販売までを一貫体制で取り扱っている。同社は2013年、伊藤忠商事株式会社のグループ企業でレトルトパウチ食品を製造する株式会社アーデン(長野県小諸市)を買収した。今回はM&A責任者として買収を成功に導いた専務取締役の小松茂樹氏に、M&Aに至った経緯や今後の経営方針について、ストライクの担当者である鈴木芳憲がお話を伺った。
事業の多角化として、付加価値の高い加工食品の開発を視野に入れ、M&Aを検討
M&Aを検討された背景として、
どのような経営課題を感じられていたのでしょうか。
昨今、食の安全意識の高まりや消費者の健康志向、また野菜消費の増加などを背景に、当社のきのこは非常に多くの方にご購入いただいています。ただ、今後のことを考えますと、避けて通れないのが少子高齢化と人口減少の問題です。今は好調でも、将来的に国内の需要はどのメーカーも同様に、徐々に落ちていくことが予想されます。今後の国内市場を垣間見、生のきのこだけに依存するリスクを出来る限り低減していくために、事業の多角化として食品加工機能を保有し、付加価値の高い加工食品を開発したいという思いがありました。しかし、設備投資や人を採用して事業を育てるには時間が必要です。それならばM&Aという一方向も検討し、販路を持ったメーカー様を探し始めたのです。
M&Aはどのように進んだのでしょうか。
きっかけは2013年初旬に、当社のメインバンクから「レトルトパウチ食品メーカーのアーデンを買収してはどうか」という提案を受けたことです。すぐに検討し、買収意向の旨をお伝えしました。翌月には、メインバンクからM&Aの専門家としてストライクを紹介していただき、本格的に買収検討が始動しました。アーデンの親会社が伊藤忠商事という大企業ということもあり、当初は相手にされないのではないかと心配でしたが、ストライクがすぐに交渉の場をセッティングしてくれました。
その後、アーデンの古市社長を交えて両社のトップミーティングがありました。どのような交渉になるかと不安でしたが、終始友好的なムードの打ち合わせとなりました。
古市社長は最初に目が合った瞬間から、とても良い印象でした。実直で誠実、真面目。当社の事業にも精通してくれていましたし、お話の中で取引先からの人望が厚いこともわかりました。事前に、当社の内容・状況・実情等をしっかりと伝達して頂き、障壁がない状況でのミーティングをセッティングして頂けたので、非常にありがたかったことを覚えています。
そこからはアーデンの工場見学、基本合意書の締結、デューデリジェンス(買収監査)の実施とトントン拍子に進み、無事に最終契約締結に至ることができました。
企業風土や価値観を共有できる相手を見つけることがM&Aの重要なポイント
M&Aを成功に導いた要因があれば教えてください。
振り返ると、成功の最も重要なポイントは、ストライクが当社の風土と相手先の風土との共通点を理解した上で、企業相互が同じ価値観を持っている、同じ考え方ができているという点を調整・結び付けてくださったことであったと思います。
また、両社だけでなく、先方の親会社やアドバイザー、金融機関など数十名もの関係者がいましたが、それをストライクがスムーズに調整し導いてくれたことも非常に大きかったと感じています。
買収によってどのような効果が生じていますか。
アーデンは業歴の長い会社で、1976年にレナウンの子会社のレナウンフーズとして設立されました。これまでに積み上げられた、さまざまな加工に関するノウハウを保有されており、いろいろな情報や新しい発想を得ることができています。食品製造における品質管理の技術や考え方も非常に勉強になり、人事交流も深めながら身につけています。
事業としては、従来は外注していたベンダー向けの「きのこの水煮」の製造について、一部内製化をしてもらっています。これを来年には数十トンに拡大する予定です。さらに今後は、最終消費者向けにホクトブランドの加工食品を開発・製造していきたいと考えています。
今後の経営方針とM&Aの活用に対する考え方を教えてください。
当社は「世界のきのこ屋さん」を目指すべく、4つの柱で事業計画を立てています。
その中でも、2番目の柱として掲げている加工商品事業の拡大は特に大きなテーマであり、そのためには今回のアーデンのような製品開発力のある会社のノウハウが必要です。いろいろな取り組みを通じて、これまで食卓の脇役だったきのこを主役に持っていきたいですね。
本日はありがとうございました。
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