INTERVIEW

精神科医療と
地域の未来を拓く
SAITO MEDICAL GROUP
の新たな挑戦

  • #後継者不在
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  • #老舗
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医療法人薫風会 事務長 成田 亮 氏、医療法人薫風会 象潟病院 院長 曽我 正人 氏、一般財団法人SAITO MEDICAL GROUP 代表 齋藤 浩記 氏、統括局 企画広報本部長 祭主 博史 氏

医療法人薫風会 事務長 成田 亮 氏
医療法人薫風会 象潟病院 院長 曽我 正人 氏
一般財団法人SAITO MEDICAL GROUP 代表 齋藤 浩記 氏

医療法人薫風会(秋田県にかほ市)は1978年の設立以来、40年以上にわたり、精神科を主としつつ地域医療に貢献してきた。同会は事業承継や人手不足などの課題を解決し、地域医療を持続可能なものにするため、2024年9月に一般財団法人SAITO MEDICAL GROUPに事業を譲渡した。M&Aに至るまでの経緯を含め、薫風会が今後、地域医療で果たす役割や見通しについて医療法人薫風会 事務長 成田 亮氏、同会 象潟病院 院長 曽我 正人氏、一般財団法人SAITO MEDICAL GROUP 代表 齋藤 浩記氏にお話を伺った。

M&Aを決断した背景

事業内容や特徴をお聞かせください。

医療法人薫風会 事務長 成田 亮 氏、医療法人薫風会 象潟病院 院長 曽我 正人 氏
象潟病院についてお話する、成田亮・事務長(手前)。奥は曽我正人・院長

成田:当院は昭和53年に精神科の単科病院としてオープンしました。当時、象潟町(合併前)では唯一の有床病院でした。開院当初は精神科病院ということで若干の偏見もありましたが、地域を回って「精神科だけでなく、風邪や高血圧など一般的な診療も行う」ことを説明し、地域住民の理解と支援を得て設立に成功した病院です。

齋藤:当グループは、単なる医療提供にとどまらず、社会にどのように貢献していくかという視点で経営を行っています。空間的な広がりとしては地域を問わず、時間軸でも将来にわたる永続的な発展を重視しています。
そして多数の法人を擁しながらも、各法人の独自性を尊重しつつ、より普遍的な価値を追求しながら発展させていくことが特徴です。そのため、医療を取り巻く環境がいろいろな要素を持っているように、あらゆることに対応できる人材、医療業界以外の多様な経験や資格を持つ人材が集まっているのも当グループの強みと言えます。

M&Aを検討されたきっかけは何ですか?

成田:当初、M&Aについては事業買収や乗っ取りといったネガティブなイメージを持っていました。2023年9月、ストライクの担当者から「M&Aは後継者問題だけでなく、永続的な地域医療提供のための選択肢の一つ」という説明を受け、考え方が変わりました。経営状況が徐々に厳しくなる中、金融機関からコンサルタント導入の提案もありましたが、並行してストライクに事業承継の相談をさせていただきました。担当者の熱心さもあり、秋田県内で、医療機関の事業承継に携わっているという実績の豊富さから、ストライクに依頼しようと考えました。

新しい環境での医療

薫風会をグループに迎え入れた理由をお聞かせください。

一般財団法人SAITO MEDICAL GROUP 代表 齋藤 浩記 氏
地域との医療連携について熱く語る齋藤浩記・SAITO MEDICAL GROUP代表

齋藤:まず、秋田県にかほ市という地域の魅力に惹かれました。鳥海山の麓に位置し、海にも近く、空気と水が清浄で、自然と共生できる環境です。また、秋田県は教育レベルも高く、医療の展開に適した地域だと感じました。
薫風会 象潟病院・介護老人保健施設の建物は古いものの、施設内は綺麗に保たれており、事務長や院長が病院を大切に思っていることが伝わってきました。職員の方々も、より良い精神医療を提供したいという熱意を持っていることがわかりました。
また、理事長や事務長との面談を通じて、地域の精神医療に真摯に向き合ってこられた姿勢に共感しました。この地域唯一の精神病院として、重要な役割を担っていらっしゃいます。

従業員の方々への説明はどのように行われましたか。また、どのような反応がありましたか。

成田:事業承継が決まった翌週に、前理事長から職員向けに文書で通達を行いました。その際、SAITO MEDICAL GROUPのホームページやYouTube動画のURLも共有しました。
反応は二分されました。「雇用や給与はどうなるのか」と不安を感じる職員もいれば、「後継者が決まって安心して仕事ができる」と前向きに捉える職員もいました。
承継後2週間ほどで齋藤先生が来院し、今後の方向性について幹部職員との面談や質疑応答を行いました。その結果、職員の不安も解消され、現在は安心して医療・介護に従事できている状況です。

地域と一体となった医療を目指して

事業展開への期待についてお聞かせください。

薫風会 象潟病院
インタビューが行われた、薫風会 象潟病院

成田:当院は人口2万2000人という小さな地域にありますが、行政や患者さんにとって欠かせないインフラですので、SAITO MEDICAL GROUPに入ることで、永続的に発展してほしいと考えています。

曽我:グループに加わることで、精神科病院としてのあり方や課題、目標について新たな視点からの指摘をいただき、今までできなかったことができるようになり、さらなる発展につながることを期待しています。

今後の展望についてお聞かせください。

齋藤:まず足元の課題として医療連携の強化を進めます。その上で在宅医療の展開や就労支援など、新たな取り組みも検討しています。患者さんの働く場所を作っていくためにも、地域の人材不足に悩む農業や漁業などの一次産業との連携も視野に入れています。
単に精神科病院として存在するのではなく、地域と一体となって精神医療を展開していきたいのです。そうすることで、患者さんの人生が開かれていくような喜びを、スタッフとともに感じられる場を作っていきたいと考えています。

ストライクのサービスについてはいかがでしたか?

医療法人薫風会 事務長 成田 亮 氏、医療法人薫風会 象潟病院 院長 曽我 正人 氏、一般財団法人SAITO MEDICAL GROUP 代表 齋藤 浩記 氏、統括局 企画広報本部長 祭主 博史 氏
左から、成田亮・事務長、曽我正人・院長、齋藤浩記・SAITO MEDICAL GROUP代表、祭主博史・統括局 企画広報本部長

成田:非常に親切な対応が印象的でした。M&Aという、初めての状況の中で、親切丁寧に説明いただいたり、何度も足を運んでいただいたりしたおかげで、案件がスムーズに進んだと思っています。

齋藤:担当の山田さんは、クライアントのニーズや話をよく聞き、きめ細やかな対応をしてくれました。M&Aは企業や医療法人の「お見合い」のようなもので、双方が頻繁に会うわけではありません。そのため、両者の意図や思いを正確に伝える仲介者の役割が重要です。山田さんは、まず「傾聴」することから始め、双方の話をよく聞いて適切にすり合わせる業務を丁寧に行ってくれました。

M&Aを検討している医療機関へのメッセージをお願いします。

成田:M&Aは決して後継者問題の解決策だけではありません。継続的な地域医療提供のためのパートナーを見つける有効な選択肢の一つとして、ぜひ前向きに検討していただければと思います。

本日はありがとうございました。

M&Aアドバイザーより一言(山田 惠太・ヘルスケアグループ アドバイザー談)

ストライク山田 惠太

医療法人社団薫風会様は秋田県にかほ市で45年以上にわたり患者様に寄り添った診療を行っており、当該エリアの唯一の病院として、地域になくてはならない医療機関です。 後継者が不在である中、地域医療の継続・従業員雇用維持といった地域医療と従業員の将来を守る為、「M&A」という選択を取られました。
病院が大事にする想いを引き継いでくれる最適なお相手先として、地域医療への継続的な貢献とさらなる発展を実現できるSAITO MEDICAL GROUP様との成約に至りました。
両社面談を重ねる中で心理療法や患者様への対応といった、医療が目指すべき方向性が一致していることを確認でき、お互いにとって非常に満足のいく形で成約の日を迎えることができました。今後も、両社のさらなる成長を心より祈念するとともに、M&Aを通じて地域医療の継続に一層貢献できるよう努めてまいります。

2025年3月公開

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