セミナーレポート
SEMINAR REPORT
「オープンイノベーション促進税制」の活用が求められる理由とは?
ストライクがセミナー開催
ストライク<6196>は11月7日、事業会社とスタートアップの資本提携時に活用可能なオープンイノベーション促進税制について、制度制定の背景と狙いなどを解説するセミナーを東京都内で開いた。オープンイノベーション促進税制に関する税制改正や制度の執行、事業再編を促す制度(事業再編計画)に関わる経済産業省経済産業政策局産業創造課の加藤隆一課長補佐が、近年大きな注目を浴びる「オープンイノベーション」について、税制面から解説した。
海外との成長格差を是正するためオープンイノベーションを促進
冒頭で、日米の経済成長比較でスタートアップ関連を除く既存企業では成長率に大差がないことから、スタートアップ支援が日本経済の再成長に必要だと指摘。そのため2022年1月に岸田文雄首相が同年を「スタートアップ創出元年」として、5カ年の育成計画と1兆円もの予算をつけたなど、政策の意図を説明した。
さらに日本企業は大胆な事業転換が遅いため、設立から10年でROA(総資産利益率)がピークアウトする傾向があると指摘。こうした状況を乗り越えるためにも、スタートアップ企業とのM&Aによるオープンイノベーションが必要だと指摘した。
しかし、日本企業のオープンイノベーションの実施率は47%と、欧米企業の78%に比べて低い。事業会社による2022年のスタートアップ投資額の国際比較では513億ドルの米国や166億ドルの欧州、81億ドルの中国と比べ、日本は25億ドルと出遅れている。
そこで国内事業会社がオープンイノベーションにより、新事業開拓や生産性向上を図るのを目的にしてスタートアップ企業に出資する場合は、取得価額の25%を課税所得から控除する時限措置を導入。令和5(2023)年度税制改正ではスタートアップの成長に資するM&Aの場合は発行済株式の取得も対象となった。
2020年の制度創設から、利用件数と利用総額は増加しているという。現在までに365件、約1300億円の出資案件で同税制が活用されている。加藤課長補佐は「従来の新規出資型に加えて今年度からM&A型もオープンイノベーション税制の対象となった。ハードルが高いと考えず、迷ったら遠慮なく相談してほしい」と呼びかけた。
文:M&A Online
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