INTERVIEW

「喉が渇く前に井戸を掘る」――ドローン測量のパイオニア・株式会社リカノスが選んだ、技術を託す決断

株式会社リカノス様
譲渡企業様 譲受企業様
企業名 株式会社リカノス ダイナミックマッププラットフォーム株式会社
所在地 山形県山形市 東京都渋谷区
事業内容 土木・建築分野におけるBIM・CIM関連業務、UAV(ドローン)による写真測量・解析(特許取得)、地上型レーザー計測 等 自動運転・ADASをはじめ多様な産業向けの高精度3次元データの提供
M&Aの目的 後継者不在への備え、技術・設備投資の高度化への対応、社員の安心と会社の成長基盤づくり ドローン測量技術・知見の獲得による対応領域の拡大、測量業界が直面する後継者不足・供給不足という社会課題への対応
今後のテーマ 全国ネットワークの中での技術展開と、社員が安心して働ける体制づくり 全国の測量会社とのグループ形成によるインフラDX・防災DXへの貢献、日本海測量設計をはじめとするグループ各社との技術連携強化

株式会社リカノス
ご成約インタビュー動画

この記事のハイライト

課題:株式会社リカノスは、お客様のニーズが多様化・高度化する中、機材や技術開発に投じる資金負担が年々増加し、単独での対応に限界を感じ始めていた。

決断:ドローン測量の技術を磨いてきたリカノスに対し、上場企業の社長自らが山形まで足を運ぶ姿勢や、社員に気さくに接する社風への共感、そして「仲間探し」という考え方への一致が、グループ入りを決断する最大の決め手になった。

成果:2026年4月の成約後、経営はダイナミックマッププラットフォームから就任した川端新社長に引き継がれ、全国規模のネットワークの中で、社員が安心して働ける環境づくりが進んでいる。

株式会社リカノス シニアアドバイザー/前・代表取締役 平慶幸 氏、税理士法人あさひ会計 統括代表社員 田牧大祐 氏、ストライク清野

2006年に山形県山形市で設立された株式会社リカノスは、2014年頃からドローン測量の技術開発に着手しました。当時は日本でドローン測量という言葉すらまだ一般的でない時代でした。技術開発に着手してから約10年後、従業員15名の同社が下したのは、東証グロース市場に上場した高精度3次元データ企業・ダイナミックマッププラットフォーム株式会社のグループ入りという決断です。前代表取締役でシニアアドバイザー平慶幸氏と、長年同社を支えてきた税理士法人あさひ会計(山形県山形市)統括代表社員の田牧大祐氏に、決断までの道のりを聞きました。

9年間磨いた技術に感じ始めた"このままではいけない"という危機感

M&Aを通じた資本提携を考え始めた時期と、その時の心境を教えてください。

株式会社リカノス シニアアドバイザー/前・代表取締役 平慶幸 氏
平 慶幸氏(株式会社リカノス シニアアドバイザー/前・代表取締役)

平:漠然とは2、3年前から考えていました。ちょうど1年前、2025年のお盆前くらいのタイミングで、税理士法人あさひ会計の田牧さんに相談させていただいたのが最初の動きです。いつまでにM&Aをやり切るといった具体的な計画があったわけではなく、まずは一度相談してみようという、軽い気持ちからのスタートでした。

単独での経営に、どのような課題を感じていらっしゃいましたか。

平:2014年頃からドローン測量の技術開発を始め、2016年頃には本格的に測量業務として展開し始めた当初は、まだ誰もやっていない新しい取り組みでした。それから9年が経ち、お客様からのご要望やニーズがどんどん多様化・高度化していく中で、このままでは応えきれなくなるのではという危機感をずっと持っていました。機材や新しい技術の開発に投じるお金も年々大きくなっていて、この競争に一社でついていけるのかという不安がありました。

平社長からご相談を受けた際、田牧様はどのように感じられましたか。

田牧:普段は月次で担当者が訪問していますが、大事なご相談の際は平社長から直接お電話をいただき、お会いしてお話しする機会がありました。今後の会社をどうするかというご相談の中で、M&Aの話と、ストライクさんへのご紹介の話が出てきたという流れです。そこからは、話が早かったですね。平社長がまさに今回のタイミングでキャリアを変えられるというお考えをお持ちだったので、スムーズに動くことができたと思っています。

上場企業の社長が山形まで足を運んだ――決断の瞬間

ダイナミックマッププラットフォーム様と初めてお会いになった際、どのような印象を持たれましたか。

平:最初にお会いしたのは山形です。ダイナミックマッププラットフォームさんの方から山形まで来ていただいて、吉村社長をはじめ3名の方とお会いしました。グロース市場に上場されている企業の社長さんが、15人程度のうちの会社のためにわざわざ山形まで来てくださるんだ、という驚きが率直な感想です。堅苦しさはなく、親しみを持って楽に話ができる方でした。

最終的にグループ入りを決断された最大の決め手は何でしたか。

平:基本合意契約の前に、渋谷のダイナミックマッププラットフォームの本社にお呼びいただき、社内を見学させていただく機会がありました。その際、吉村社長が従業員の皆さんに気さくに接している姿を目にして、社内の雰囲気の良さを感じました。また、「ワクワクすることをやりたい」と従業員の方々にお話しされているのをお聞きして、前向きに面白いことをしようとする会社なんだなと思ったことも、大きな決め手のひとつになりました。

田牧様は、リカノス様とダイナミックマッププラットフォーム様の組み合わせをどうご覧でしたか。

税理士法人あさひ会計 統括代表社員 田牧大祐 氏
田牧大祐氏 税理士法人あさひ会計(山形県山形市)統括代表社員

田牧:リカノスさんの事業は、建設業の中でもこれから伸びていく分野で、地方でこうした新しい取り組みをされている平社長の経営そのものが素晴らしいと感じていました。一方で、地方だけでは人材確保やお客様の広がりに限界があるとも感じていましたので、自動車会社が出資する安定した株主構成を持つダイナミックマッププラットフォームさんとの組み合わせは、非常に良いお話だと思いました。

ストライクの伴走と、"仲間"が増えた先に描く未来

成約に至るまでの過程で、ストライクの担当アドバイザーのサポートについて、印象に残っていることを教えてください。

平:M&Aに関する営業のお話自体はこれまでも電話やメールでいろいろいただいていましたが、今回、ストライクの清野さんとあさひ会計さんに仲介いただき、とても親身に、丁寧にご対応いただきました。私自身、経営者ではあっても数字や経営面の詳しい話はどちらかというと不得意で、技術者上がりの人間なのですが、そうした部分もとても親切に教えていただきました。書類ひとつ作るにも、ゼロから作ってくださいということではなく、あらかじめいくつかの回答案を出していただき、その中から選べるようにガイドしていただいたので、とても進めやすかったです。

田牧:最初の印象通り、清野さんには非常に丁寧に進めていただきました。レスポンスも早く、宿題があれば次回までに必ず回答をご用意いただいていましたし、資料も分かりやすくしっかり作り込まれていて、進め方の中で不安を感じることは一切ありませんでした。

従業員の皆様への説明や、成約後の引き継ぎ状況について教えてください。

平:株式譲渡契約の2ヶ月ほど前に、まず一部の社員に話をしました。全社員には契約の数日前に伝えています。突然のことで戸惑いもあったと思いますが、内容をきちんと説明すると納得してくれました。2026年4月からは経営を川端社長に引き継いでおり、今は、これまで私が担当していたお客様のところに川端社長と一緒にご挨拶に回っている最中で、進捗としては6〜7割ほどです。従業員にとっても、これまでとは違う、安心して働ける環境ができてきたのではないかと感じています。

事業承継やM&Aを検討している全国の経営者へ、メッセージをお願いします。

平:お客様のニーズがどんどん多様化・高度化していく中で、いつまでその期待に応えられるのかという不安は、ずっと心の中にありました。会社がすぐに傾くような状況ではありませんでしたが、いずれ対応しきれなくなる日が来るかもしれない。そう考えると、早めに決断できて良かったと思っています。「喉が渇く前に井戸を掘る」ということを、いつも自分への戒めとして心がけてきました。

M&Aアドバイザーより一言

ストライク清野

株式会社ストライク 法人戦略部 清野遼太

株式会社リカノス様とダイナミックマッププラットフォーム株式会社様のご成約、誠におめでとうございます。
ドローン測量の黎明期から技術を磨き上げてきたリカノス様ですが、高度化するニーズや技術投資の負担増を見据え、「喉が渇く前に井戸を掘る」と語られた通り、次なる成長基盤を模索されました。その平様のお姿からは、会社と従業員の未来を守り抜くという、経営者としての強い覚悟を感じ、深く感銘を受けました。
また、本件は平様が日頃から厚い信頼を寄せられている税理士法人あさひ会計の田牧様に、今後の会社のあり方をご相談されたことがきっかけでした。田牧様がリカノス様の事業環境や課題を深くご理解されており、スムーズに当社にお声がけいただいたからこそ、今回の素晴らしいご縁につながったと感じております。当社にとっても、地域企業の心強い伴走者であるあさひ会計様と連携し、共にリカノス様の新たなスタートをご支援できたことは、大変ありがたく貴重な経験となりました。私自身も山形県の出身であるため、地元・山形で素晴らしい技術を培ってこられたリカノス様の次なるステップへの挑戦をあさひ会計様とともにご支援できたことを、心から嬉しく思っております。
今後、ダイナミックマッププラットフォーム様の強力な基盤のもとでリカノス様の技術が全国そして世界へと羽ばたき、会社と従業員の皆様がさらにご活躍されることを心より祈念しております。

公開日:2026年10月28日

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