INTERVIEW

「Modeling the Earth」を掲げる企業が挑む測量業界のM&A――ダイナミックマッププラットフォーム株式会社が描く"仲間づくり"の成長戦略

ダイナミックマッププラットフォーム株式会社様
譲渡企業様 譲受企業様
企業名 株式会社リカノス ダイナミックマッププラットフォーム株式会社
所在地 山形県山形市 東京都渋谷区
事業内容 土木・建築分野におけるBIM・CIM関連業務、UAV(ドローン)による写真測量・解析(特許取得)、地上型レーザー計測 等 自動運転・ADASをはじめ多様な産業向けの高精度3次元データの提供
M&Aの目的 後継者不在への備え、技術・設備投資の高度化への対応、社員の安心と会社の成長基盤づくり ドローン測量技術・知見の獲得による対応領域の拡大、測量業界が直面する後継者不足・供給不足という社会課題への対応
今後のテーマ 全国ネットワークの中での技術展開と、社員が安心して働ける体制づくり 全国の測量会社とのグループ形成によるインフラDX・防災DXへの貢献、日本海測量設計をはじめとするグループ各社との技術連携強化

ダイナミックマッププラットフォーム株式会社
ご成約インタビュー動画

この記事のハイライト

課題:測量業界はこの20年で登録会社数が約1万5,000社から1万1,000社台まで減少し、後継者不足・人材不足による供給不足が全国的な課題になっている。DMPは自動車搭載センサーによる測量技術を有していたものの、ドローン測量技術は自社グループ内に持っていなかった。

決断:ドローン測量の黎明期から技術を蓄積してきたリカノスの技術力に加え、顧客の現場課題に真摯に向き合う姿勢や、実績に裏付けられた信頼関係・組織文化への共感が、グループ入りを後押しする決め手になった。

成果:リカノスの技術・知見をグループ内の他の測量会社にも展開できる体制が整い、インフラDX・防災DXへの貢献や、全国規模での測量会社とのネットワーク構築という新たな成長ステージに進み始めています。

ダイナミックマッププラットフォーム株式会社 代表取締役社長CEO 吉村 修一 氏・執行役員コーポレート統括兼社長室長 猪俣 光俊 氏・社長室主査 川端 出 氏、ストライク清野

自動運転・ADAS(先進運転支援システム)向けに高精度3次元データを提供するダイナミックマッププラットフォーム株式会社(以下、DMP)。同社にとって3件目となるM&Aの相手は、山形でドローン測量の黎明期から技術を磨いてきた株式会社リカノスでした。20年間で約4,000社が姿を消した測量業界の構造的な課題に、DMPはなぜ「買収」ではなく「仲間づくり」という言葉でM&Aに向き合うのか。代表取締役社長CEO・吉村修一氏をはじめとするキーパーソンに話を聞きました。

「Modeling the Earth」――3次元データ基盤の会社が、なぜ測量業界のM&Aに動くのか

DMP様がどのような会社か、自己紹介をお願いできますか。

ダイナミックマッププラットフォーム株式会社 代表取締役社長CEO 吉村 修一 氏
吉村 修一 氏(ダイナミックマッププラットフォーム株式会社 代表取締役社長CEO)

吉村:ダイナミックマッププラットフォームは、「Modeling the Earth」をビジョンに掲げて事業している会社です。Modeling the Earthというのは、地球上のあらゆるものを高精度に3次元データ化したプラットフォームを提供しようということで掲げているビジョンになります。この世の中を1分の1スケール(実物と同じ大きさ)で、できるだけ正しくサーバー上に転写・複製をして、その上で分析や予測、さまざまな制御を作るために使われるデータ基盤というものを作っています。

「Modeling the Earth」の実現に向けて、M&Aはどのように位置づけられていますか。

吉村:我々の会社自体は、地球上をできるだけ正しく3次元データにしてプラットフォームとして提供しようということをやっていますが、その中でM&Aも有効な成長戦略として位置づけて活動しています。もともと2016年の創業ですが、日本の自動車会社10社などが出資して設立された政府系スタートアップとしての出発でした。2019年にアメリカの同業他社(GMを中心に設立された3次元データプラットフォーム会社)を100%買収し、初めてのM&Aを行いました。その後、2025年に東証グロース市場に上場し、それからまたM&Aを再開しています。2025年に測量会社の日本海測量設計株式会社様をグループに迎え、今回のリカノスさんは3件目のM&Aになります。
なお、ダイナミックマッププラットフォームのデータは2017年から量産車に搭載されて発売されており、世界で初めて手放し運転を可能にした実績があります。

測量業界全体の構造的な課題について、どのように捉えていらっしゃいますか。

吉村:統計を見てみると、この20年間でだいぶ廃業・倒産が進んでいる業界だと認識しています。20年前には日本全体で1万5,000社ぐらい測量業として登録されている会社がありました。足元、2023年の統計では1万1,300社ぐらいまで減ってきていて、2026年度になるとおそらく1万1,000社ぐらいになっているのではと思います。この20年間で4,000社ぐらい会社がなくなっていっているというのが、この業界の構造です。背景としては、測量業はライセンス業ですので資格保有者がどんどん減っていること、そして後継者がうまく見つからず会社をつなげないという慢性的な人手不足があります。一方でインフラ自体は年々老朽化していますので、それを維持管理する最小単位である測量会社の供給が明らかに不足している。ここに我々は社会課題を感じています。

ドローン測量の黎明期を支えたリカノスとの、"志が重なった"瞬間

リカノス様のどのような点に注目されたのでしょうか。技術力と企業文化、どちらに惹かれましたか。

吉村:どちらもとても大切だと思っていまして、リカノスさんはドローンの測量、今ではすごく一般的なものになっていますが、本当にその黎明期から立ち上げてこられた会社だと思っております。最初から技術力が高く、そこからずっと蓄積されてこられた技術力の高さはもちろん注目しています。一方で技術力だけではなく、それを生かして具体的なお客様に対して価値を提供し続けているということも注目したポイントです。我々の会社自体は自動車の上にセンサーを載せて走行することで、高精度の3次元データを収集していますが、リカノスさんの場合はドローンにセンサーをつけて飛行させることで3次元データを収集します。リカノスさんは車の入れない場所での飛行や土木系の3次元モデル作成を強みとしており、これまで我々のグループになかったドローン測量の技術力・知見を、今回のグループインによって手に入れたということになります。

リカノス様を最初に知った時、率直にどのような印象を持たれましたか。決断に至る最大の決め手は何でしたか。

吉村:リカノスさん自体、この業界の中でドローン測量ということでは有名な会社さんでおられて、代表であった平さんご自身もすごく魅力的な方だなと最初お会いした時に思いました。それはただ技術力だとかリカノスさん特有の、というよりは、1時間半しっかりと話した時に、志を共にできるなというところが一番引っかかって、共感できて、グループに入っていただきたいなと思ったポイントでした。我々がなぜこの取り組みをしているかというと、日本のインフラが老朽化していて、それを誰かが支えなきゃいけない。それを私たちはM&Aというより仲間探し、仲間づくりと呼んでいますが、それによって実現したいということを最初にご説明しました。平さんご自身もそういった思いを常にお持ちで、グループを挙げて取り組むことにご一緒していただけるということでしたので、そこで前に進んでいきました。

面談を通じて、リカノス様のどのような点に最終的な決め手を感じましたか。

ダイナミックマッププラットフォーム株式会社 執行役員コーポレート統括兼社長室長 猪俣 光俊 氏
猪俣 光俊氏(ダイナミックマッププラットフォーム株式会社 執行役員 コーポレート統括)

猪俣:技術、ドローンやそのデータを加工していく技術というところはもちろんですが、その中でお客様の現場で抱えている課題に対して真摯に向き合われて、それを実務的に落とし込まれているというところに、共感させていただくところが感じられました。決め手は2つございます。1つは信頼関係というところです。お客様に対しての姿勢についてお話しさせていただく中で、実績に基づいて信頼関係を築かれてきたというところがしっかりと分かってきました。もう1つは、私どもが目指しているM&Aは、ご一緒させていただく会社様を一方的に変えていくことを目指しているのではなく、その会社様が築かれてきた実績やお客様との関係、組織文化を、当社の事業やネットワークと掛け合わせることで大きな成長を描けるかというところを大切にしている点です。今までリカノスさんが大切にされてきた価値観や実績は、当社と一緒になっていく中で、しっかりとした成長が描けるのではないかというところが大きな決め手になったのかなと思います。

「仲間づくり」としてのM&A――全国の測量会社と描くインフラDXの未来

成約に至るまでの過程で、ストライクの担当アドバイザーのサポートについて印象に残っていることを教えてください。

ダイナミックマッププラットフォーム株式会社 社長室主査 川端 出 氏
川端 出氏(ダイナミックマッププラットフォーム株式会社社長室主査 株式会社リカノス 代表取締役)

川端:私自身がまだ経験が浅いというところもあって、ストライクの担当の清野さんには大変お世話になったなということを感じています。この案件の最初のリカノスさんの紹介から、最後のクロージングの場面まで、あるいはその後のリカノスさんの従業員への説明という場面でも関わっていただき、全ての場面で非常に手厚くサポートいただいたと思っております。エピソードとして印象に残っているのは、契約締結の1週間前ぐらいのタイミングです。契約内容の調整は最後まで細かいところを詰めていくものですが、それぞれのオフィスで夜遅くまで電話でコミュニケーションを取りながら、契約のこの条文はどういう意味なのかということを最後まで確認しながら進めていったのはすごく印象に残っていて、とても丁寧にサポートいただいたと思っています。

今後、リカノス様との間でどのようなシナジーを描いていますか。

吉村:グループ内で言うと、当社と今回グループに入っていただいたリカノスさんの間のシナジーというのがあると思いますが、それ以外にも昨年グループに入っていただいた日本海測量設計さん、こちらもドローンというテーマがありますので、リカノスさんの技術力・知見を他のグループ会社に対して技術協力いただくことで、より仕事も広がると思っています。これから先、日本海測量設計さんと同様に、全国のさまざまな測量会社にグループに入っていただきたいと思っていますので、そこに対してもリカノスさんの技術力を投入していけるのではないかと思っています。道路もトンネルも橋梁も3次元化していくことで、インフラの維持管理をデジタルで行うインフラDXが実現可能になっていきますし、これから先の自動運転やロボットという分野で使われるデータを、全国規模、あるいは世界規模で生成していきたいと思っています。

今回のM&Aを一言で表すと、どのような言葉になりますか。

吉村:今回のM&Aを一言で表すなら、やはり仲間を作っているということだと思うんですね。我々が進みたい方向、実現したい世界があって、それは社員みんなで共有しながら進んでいますが、どうしても一社だと限界がある。本当に同じことができるところには、ぜひグループに入って仲間として事業を実現したいと思っていて、まさに今回、リカノスさんはこの思いが合致できたので、仲間が単純に増えたなという感触をもっています。

M&Aアドバイザーより一言

ストライク清野

株式会社ストライク 法人戦略部 清野遼太

ダイナミックマッププラットフォーム株式会社様と株式会社リカノス様のご成約、誠におめでとうございます。リカノス様は、技術をさらに高度化させるための成長基盤づくりを模索される中で、測量業界の供給不足という社会課題に対し、「仲間づくり」という強い思いでM&Aに向き合っておられるダイナミックマッププラットフォーム様とのご縁が結ばれました。
初回のトップ面談の場において、事業シナジーや今後のビジョンについて大いに話が盛り上がり、同席していた私自身もM&A後の展開にワクワクさせていただいたことを鮮明に覚えています。
契約締結の直前には、夜遅くまで細かい条文の調整にご一緒させていただきましたが、双方の会社や事業に対する熱意と誠実さを最後まで強く感じました。
今後、リカノス様の持つ「山形発の技術」がダイナミックマッププラットフォーム様のネットワークに展開され、日本全国、さらには世界規模で使われる3次元データ基盤として大きく活躍していくものと確信しております。「Modeling the Earth」の実現とインフラDXの推進に向けて、両社が強力なタッグで更なる飛躍を遂げられますことを心よりお祈り申し上げます。

公開日:2026年10月28日

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