INTERVIEW

王子ペットクリニックがM&Aを決断した理由
後継者問題を解決し、低侵襲医療を次世代へ繋ぐ

東京どうぶつ低侵襲医療センター 王子ペットクリニック 院長 重本 仁氏
譲渡企業様 譲受企業様
企業名 東京どうぶつ低侵襲医療センター 王子ペットクリニック 株式会社Japan Animal Care Holdings
所在地 東京都北区 東京都千代田区
事業内容 動物病院、低侵襲医療 動物病院
M&Aの目的 後継者問題の解決、病院と従業員の将来の確保、事業の継続・成長 各地域の医療資源と専門性を結集し、動物医療の質を高める
今後のテーマ 低侵襲医療の技術継承、グループとの連携、病院のさらなる成長 病院間の症例・人材・運営ノウハウの共有、高度医療体制の整備、人材育成

この記事のハイライト

課題:王子ペットクリニックは、腹腔鏡や胸腔鏡、血管カテーテルなどを用いて傷を小さくする「低侵襲医療」を強みとする。一方で、重本仁院長がいつまで働けるか分からない中、家族や個人に経営を委ねるだけでは、病院と従業員の将来を確実に守ることが難しいという課題を抱えていた。

決断:息子や従業員に承継を強いるのではなく、グループの中で次の経営者を育て、病院を組織として継続させる道を選択。譲受企業の「病院と重本氏を大切にする」という姿勢や、M&A後も自分の居場所と裁量が保たれる安心感が、成約の決め手となった。

成果:会計・在庫管理・システムなどのバックオフィス支援により、経営基盤が強化。グループ内の交流や見学、勉強会の機会も増え、低侵襲医療の技術を次世代へ伝える動きが始動している。従業員の安心感が高まり、退職者の減少にもつながるなど、病院がより強い組織として成長する新たなステージを迎えている。

左から 担当したストライクの市村、重本氏
左から 担当したストライクの市村、重本氏

東京どうぶつ低侵襲医療センター 王子ペットクリニックは、腹腔鏡や胸腔鏡、血管カテーテルなどを活用した低侵襲医療に取り組む動物病院です。院長・代表取締役の重本 仁氏は、後継者問題への対応と従業員の将来を考え、M&Aを決断しました。個人経営から組織経営へ移行を希望した背景、成約後の経営支援と従業員の変化、低侵襲医療の技術継承と今後の成長構想について伺いました。

低侵襲医療を軸に、医療の限界に挑む

王子ペットクリニックの診療方針や特徴を教えてください。

当院の強みは、傷を小さくする「低侵襲医療」を動物医療に取り入れていることです。血管カテーテルを使った治療や、腹腔鏡、胸腔鏡といった内視鏡を用いた診療を中心に、できるだけ動物の体への負担を抑える医療を目指しています。

地域の病院というよりは、困っている患者さんが納得して治療を受けられる病院でありたいと考えています。遠方から紹介で来院される方も多く、これからも医療の限界に挑む病院であり続けたいです。

全5階が病院施設。多様な医療設備を完備している
全5階が病院施設。多様な医療設備を完備している
王子ペットクリニックの受付。手前の広々とした待合室では、ペットフード等も販売している
王子ペットクリニックの受付。手前の広々とした待合室では、ペットフード等も販売している
手術室の様子。腹腔鏡手術をはじめ、動物に負担の少ない最新の医療を行っている
手術室の様子。腹腔鏡手術をはじめ、動物に負担の少ない最新の医療を行っている

後継者問題を解決するM&Aという選択

M&Aを考えるようになったきっかけを教えてください。

東京どうぶつ低侵襲医療センター 王子ペットクリニック 院長 重本 仁氏
東京どうぶつ低侵襲医療センター 王子ペットクリニック 院長 重本 仁氏

M&Aを具体的に考え始めたきっかけは、後継者問題でした。たとえ息子が獣医師になったとしても、親が子に病院を継がせることが本当に良いのか、考えるようになりました。

家族経営が当たり前だった時代から、少しずつ環境は変わっています。息子や従業員に継いでほしいという気持ちはあっても、それを強いることはできません。従業員の中に後継者候補が現れたとしても、将来にわたって経営を担ってくれる保証はありません。自分が元気に動けるうちに、組織として病院を長く続けられる形をつくる必要がある。従業員を守り、病院を今の力を保ったまま次の世代へ渡すには、M&Aが適切な選択肢だと考えました。

決断にあたり、どのような葛藤がありましたか。また、最終的な決め手は何でしたか?

葛藤はずっとありました。自分がいつまで働けるか分かりませんし、息子が一人前になるまでには10年ほどかかります。その若さで跡取りになることは、本人にとっても大きな負担です。家族経営をうまく進めるには、従業員との関係を含めて多くの課題があります。

そのため、考え方は次第に変わっていきました。自分が後継者を一人で決めるのではなく、グループの中で次の経営者を育てていく。自分も技術や経営を引き継ぐために協力する。その方が、病院を強い状態で残せると考えたのです。

最終的な決め手は、譲受企業が病院と私自身を大切にしてくれると感じたことです。面談ではフランクに話を聞いてくれましたし、「大切にします」と伝えてくれました。M&A後の姿を具体的に想像でき、病院がさらに良くなると感じられたからこそ、決断できました。

経営支援と従業員の安心感が生まれた

M&A後、具体的にどのようなメリットがありましたか。

会計や在庫管理、システムなど、経営面やバックオフィスの支援が大きいです。以前は一人で病院を運営している感覚がありましたが、今は組織として動いてくれる心強さがあります。

一方で、理事会やグループ内の交流会、見学の受け入れなども増え、忙しくなりました。ただ、それも良い意味での変化です。グループの先生方に当院の技術を学んでいただく機会も増えました。今後は勉強会のグループをつくり、低侵襲医療の技術を後世に伝えていきたいと考えています。

職員やスタッフの皆さんには、いつ、どのように伝えましたか。

M&Aを実行することが決まる前から、「環境は良くなると思う」と少しずつ伝えていました。反応は「おめでとうございます」という感じで、落ち着いて受け止めてもらえたと思います。

実際、従業員にとっては安心感が増したのではないかと思います。以前は、私が倒れたら病院がどうなるのかという不安がありましたが、今はバックオフィスを支えるチームがあり、何かあったときにはグループが動いてくれる体制があります。実際に、M&A後は退職者も減りました。

技術を継承し、グループの成長と上場を目指す

今後の王子ペットクリニックの成長イメージを教えてください。

「上場という目標を共有し、グループが大きくなる過程に立ち会いたい」と語る重本氏
「上場という目標を共有し、グループが大きくなる過程に立ち会いたい」と語る重本氏

私がこのグループを選んだ理由の一つは、上場を視野に入れていることです。自分もグループが大きくなる過程に関わりたいですし、上場という目標を一緒に見られることに魅力を感じています。

個人経営の病院で、自分の老後まで働き続けるというイメージはありませんでした。M&Aを通じて時代の流れに乗り、上場を目指せることは、私にとって大きな意味があります。上場後は、さらに良いグループにしていくことが次の目標になるでしょう。

後継者不足や将来に不安を抱える経営者に、伝えたいことはありますか。

後継者不足や成長戦略で悩んでいる動物病院の経営者には、一度話を聞いてみてもよいのではないかと伝えたいです。自分の考え方に合う相手と出会えれば、M&Aは人生を変える可能性があります。

私は病院を一からつくってきました。苦労も多く、簡単な決断ではありませんでしたが、今は個人経営に戻りたいとは思いません。まだ売りたくないと考える方もいるでしょう。しかし、良いグループに入るにはタイミングも大切です。自分が動けるうちに選択肢を知ることが、病院と従業員を守ることにつながります。

ストライクのサービスや担当者はいかがでしたか。

ストライクの市村さんが担当してくれたことが、今回うまくいった大きな要因です。感謝してもしきれないほどです。

最後まで丁寧に対応してくれましたし、私の気持ちにも寄り添ってくれました。今回のM&Aは、これ以上ない出会いだったと感じています。担当者として本当に優秀でした。ストライクさんにお願いして良かったです。

M&Aアドバイザーより一言

ストライク市村鉄平

株式会社ストライク 企業情報部 市村 鉄平

王子ペットクリニック様は、低侵襲治療を専門とする高度医療・先進医療対応の動物病院です。重本先生が長年培ってこられた卓越した技術力、優秀なスタッフの皆様、そして重本先生のお人柄に譲り受ける側のJPAC様が深く共感されたことで、今回の成約へと至りました。
重本先生は難易度の高い手術を日常的に執刀される傍ら、学術研究や論文発表、酪農学園大学の准教授を務められるなど多方面でご活躍されており、業界内でも大変注目度の高いM&Aとなりました。両社の今後ますますのご発展とご活躍を、心よりお祈り申し上げます。

公開日:2026年10月20日

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