日本標準産業分類によると、税理士事務所は「学術研究、専門・技術サービス業」に分類されます。
学術研究、専門・技術サービス業には税理士事務所のほかに、「学術・開発研究機関、法律事務所、特許事務所、公認会計士事務所、デザイン業、著述家業、興信所、翻訳業、獣医業、建築設計業、機械設計業、写真業」等が含まれます(経営コンサルタント業、純粋持株会社、広告業は含まれません)。
税理士業界は、単なる「サービス業」に分類されることもあります。
税理士事務所(会計事務所)を譲渡(売却)したい、または譲受(買収)したいとお考えの方に、知っておくべき情報を事例とともにご紹介します。
日本標準産業分類によると、税理士事務所は「学術研究、専門・技術サービス業」に分類されます。
学術研究、専門・技術サービス業には税理士事務所のほかに、「学術・開発研究機関、法律事務所、特許事務所、公認会計士事務所、デザイン業、著述家業、興信所、翻訳業、獣医業、建築設計業、機械設計業、写真業」等が含まれます(経営コンサルタント業、純粋持株会社、広告業は含まれません)。
税理士業界は、単なる「サービス業」に分類されることもあります。
税理士の登録者数は80,238人(2022年8月時点)と、この20年間で約20%増加しました。税理士法人数も毎年増えており、税理士業界は過当競争気味であるといえます。
税理士事務所とは「税務代理、税務書類の作成及び税務相談などの業務を行う事業所」をいいます。税理士法第40条2項では「税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する」と定めています。
総務省・経済産業省の経済センサス(2016年)によると、会計事務所の総数は26,733で、このうち税理士事務所が24,461、公認会計士事務所が2,272となっています。
税理士事務所は、税理士が個人事業主として開業した事務所です。対して、税理士業務を組織的に行うため2名以上の税理士が共同で設立する法人を「税理士法人」といいます。
税理士法人は比較的新しい制度で、2001年に創設されました。支店を展開することが可能で、日本税理士会によると税理士法人数は4,709(2022年9月時点)と、法人数は増加傾向が続いています。なお、税理士法人を上場させることはできません。
組織形態として、税理士法人は社員を税理士に限定した会社法上の合名会社に準ずる特別法人となります。
税理士は、「税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」(税理士法第1条) と規定しています。
また税理士法では、税理士の独占業務として「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つを定めています。
税理士になるには、次のうちいずれかの要件を満たさなければなりません。
税理士が設立するすべての事業所の正式名称は「税理士事務所」と規定されています。「会計事務所」はあくまでも屋号です。俗称として税理士が「○○会計事務所」と名乗っても問題はありません。
税理士事務所の多くが会計や経営コンサルティングを請け負っており、「会計事務所」と名乗ることで提供するサービスの幅広さを印象付けることができるのです。
1.6兆円(総務省統計局、2017年)
税理士業界は東京一極集中で競争が激しいため、経営状況が良くない事務所もあるようです。法人数を考慮しない単純計算になりますが、東京都の人口10万人あたりの税理士登録者数は171人です。対して、都道府県で最も低い岩手県では人口10万人あたりの税理士登録者数は27人です。地方開業は希少性が高いことから、価格競争になりにくい土壌があると言えます。
大手事務所は国際納税や連結納税にも対応し、グローバル展開する大手上場企業や外資系企業、金融機関などをクライアントに持っています。準大手は医療やベンチャー、中小企業など専門特化型の特徴を持つ法人が多く、きめ細かな顧客ニーズに対応する運営をしています。
大手 | Big4(KPMG、PwC、EY、デロイトトーマツ)、辻・本郷、山田&パートナーズ | 1,000人以上~ |
---|---|---|
準大手(中堅) | 独立系、中堅監査法人系、地方や中小企業に特化した法人などさまざま | 100~300人規模が多い |
小規模 | 個人事務所と実態は変わらない数名程度の法人もある | 数名から30人程度が多い |
税理士事務所のM&Aが当たり前の時代になりました。税理士業界は同業者の仲が良いので、かつては友人に顧問先を振り分けて引退(廃業)していました。しかしM&Aが浸透するにつれて、税理士事務所も「譲渡できる」ことが口コミで知れるようになると、廃業ではなくM&Aを選択する経営者も増えてきました。
税理士法人のM&Aが増えている背景には、後継者不在を理由にした事業承継のほかに、業界再編が活発になっていることがあげられます。
2014年に日本税理士会連合会が行った調査では、全税理士のうち、60歳以上を占める割合は半数以上(53.8%)であることがわかっています。高齢化が進んでいるのは税理士業界も例外ではありません。
日本税理士会連合会「第6回税理士実態調査」(平成26年1月1日現在 32,747人対象)
https://www.nichizeiren.or.jp/wp-content/uploads/doc/prospects/whats_zeirishi/book02/origin/page-0017.pdf
「経営が苦しいので大手の傘下に入りたい」というニーズもよく聞かれます。都内を中心に税理士法人の数は年々増加傾向にありますが、一方で顧問先が廃業を選択したり、知人以外の第三者に譲渡する動きも加速しています。
ネットに慣れたベンチャー企業の経営者は、記帳代行業務にクラウドサービスを利用し、確定申告業務はウェブサイトで相見積りを取るなど、税理士費用を抑える傾向にあり、価格競争で顧問料が低下しています。
DX導入に際しても、環境の整備やネットに強い人材採用などの投資が捻出できず、時代遅れの経営を取らざるを得ない事務所も存在します。こうした将来不安から譲渡を検討する税理士事務所が増えているようです。
主業務である記帳代行は無資格でも問題ないため、一人で切り盛りしている事務所は別として、通常は職員が行います。しかし、どこでも同じ業務内容なので流動性が高く、転職が容易なため辞めやすい環境であるとも言えます。人材獲得を目的とした買収を「アクハイアリング」といいますが、小規模であっても買収したいと考える税理士事務所は多いようです。
税理士法人は2001年に制度化されたことから歴史が浅く、Big4と呼ばれる超大手は別格として、大手に続く中堅どころの第2グループが覇権争いを繰り広げています。
業界再編がひと段落すると譲渡額が抑えられるのは、他業界の先例をみても明らかです。少々言葉が悪いですが、税理士業界は「今が売り時」であることは間違いありません。
売却には当然リスクも存在します。慣れない交渉や破談となった場合など精神的なストレスがかかる場合もあります。M&Aを検討される際は、デメリットがあることも知っていただきたいと思います。
M&Aを進めるにあたって「いくらで譲渡できるのか」は、誰もが気になるところでしょう。しかし、オープンになってきたとはいえ、実名で取引金額を公開することはほとんどないでしょう。
税理士事務所の取引相場は8掛け(売上高×0.8)が目安と言われていますが、実際の取引で売上高の2倍で取引されたケースもあります。
しかし、同じ売上高であっても利益率によって算定結果は異なります。例えば、売上高が同じ5,000万円の事務所が2つあり、A事務所は顧問先が160社、職員が8名だった場合と、顧問先が80社で職員が5名のB事務所では、利益率が高いB社の方が高くなる可能性があります。
また年間の売上高が同じでも、全額がルーチンワークによる固定報酬なのか、相続など一時的なコンサルティング報酬が含まれているのかなどによって、算定結果が変わります。その他、事務所の資産(社用車や備品など)も含めて評価します。
いくらで取引されているのか知りたい方は、税理士事務所のM&A実績が豊富な仲介会社やアドバイザーに聞いてみるとよいでしょう。
税理士法人は、出資持分を持つ社員*が実質的な経営者となります。出資持分を譲渡すれば経営権を譲り渡すことができます。これを「(出資)持分譲渡」といい、M&Aで最もポピュラーな株式譲渡にあたる手法です。
*税理士法人の「社員」とは、株式会社でいう「株主」のようなもので、職員のことではありません。
税理士法人のM&Aスキームには出資持分譲渡のほかに、「合併」というスキームもあります。合併の手法には吸収合併と新設合併がありますが、対等な立場での合併は失敗するリスクが高くおすすめしません。買収先の傘下に入る「吸収合併」でないと難しいでしょう。
また合併は売り手も共同経営者になるため、引退することは出来ません。経営者交代の譲渡スキームで検討するようにしましょう。
売り手 | 買い手 | 対象 | スキーム |
---|---|---|---|
個人 | 法人 | 事業 | 事業譲渡 |
法人 | 個人 | 事業 | 事業譲渡 |
法人 | 個人 | 出資持分 | 持分譲渡 |
法人 | 法人 | 事業 | 事業譲渡 |
法人 | 法人 | 法人格 | 合併 |
税理士事務所は税理士免許を持つ者しか開業できません。当然ながら売却先の受け皿も税理士の有資格者のみとなります。しかも税理士事務所は複数の税理士事務所を保有できないという規定があります(税理士法第40条)。
また、契約の内容にもよりますが、基本的にM&Aを行うと競業避止義務違反となるため新たに個人事務所を開いて税務業務を行うことはできません。特定の顧問先のみ引き継ぐなどの希望があれば、交渉時に相談するなど、早めに対応しましょう。
株式会社 | 税理士法人 | |
---|---|---|
所有と経営 | 分離 | 一致 |
出資 | 株式 | 持分 |
出資者 | 株主 | 社員 |
出資者の責任 | 有限責任 | 無限責任 |
税理士業界は再編の真っ只中にあり、買い手意欲が旺盛な業界のひとつです。規模の大小に問わず、候補先が選べる今こそ、M&Aを検討してみてはいかがでしょうか。
M&Aの準備期間は早いに越したことはありません。ストライクのM&A専門アドバイザーは公認会計士・税理士資格を有するメンバーが対応するため、同じ目線で話をすることが出来ます。さらに税理士事務所のM&A実績もあり、最新の動向が入手できます。全国で無料相談を行っていますので、M&Aを検討している方は気軽に相談してみるとよいでしょう。
卓越した専門性
ストライクは、M&Aに特化した専門家集団です。全国各地の金融機関や税理士団体・会計士団体などと提携し、ネットワークを駆使して最適なご縁を探します。
専任担当制
税理士事務所の業務、経営を熟知した専任の担当者が、お客様のM&Aを支援いたします。
全国9か所、日本最大級の拠点網
ストライクには全国9か所、M&A仲介で最大規模の拠点網があります。地域を熟知した担当者が寄り添います。地域をまたぐ案件にも柔軟にご対応できます。
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税務研究会との連携
「税務通信」「経営財務」、M&A情報サイト「ZEIKEN LINKS(ゼイケンリンクス)」でおなじみの税務研究会と提携し、税理士事務所の承継やM&Aのご相談をお受けし、理想的な譲渡先とのマッチングにつなげます。
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