キリンホールディングスは30日、ミャンマー国軍系企業と合弁で運営する現地ビール大手ミャンマー・ブルワリー(MBL、ヤンゴン。売上高204億円)の全保有株式51%を、MBLに譲渡すると発表した。昨年2月に起きた国軍によるクーデターを受け、早期の合弁解消とミャンマー事業撤退に向けて様々な選択肢を検討してきたが、合弁会社がキリンから自社株を買い取る形で最終的に決着した。譲渡価額は3240億ミャンマー・チャット(約224億円)。譲渡日は未定だが、可能な限り速やかに実行するとしている。
MBLはミャンマー最大手のビール会社で、キリンは2015年に約700億円を投じて傘下に収めた。現在、キリンのシンガポール子会社が51%、国軍系企業ミャンマー・エコノミック・ホールディングスが49%を出資する。
キリンは昨年2月、国軍のクーデター発生を受け、合弁解消を表明。今年2月には、キリンの望む形での合弁解消は困難として、ミャンマー事業の撤退方針を決め、交渉を進めてきた。
合弁解消・撤退に向けては第三者への株式譲渡、MBLの会社清算、MBLへの株式譲渡(自己株式取得)の三つの方策を検討してきた。第三者への株式譲渡はミャンマー政府などの承認が必要になるほか、会社清算は現地従業員や取引先への影響が大きいため回避。こうした状況から、MBLへの株式譲渡が最適な手段と判断した。